早期警戒システム 2011/01/21
108-085 大野 瑛介
はじめに
早期警戒システムとは、モデルを活用して通貨危機の予知、予防を目指す研究分野である。従来の通貨危機は、マクロ経済の健全化を、時間をかけて行うことで解決できた。しかし、アジア通貨危機やメキシコ通貨危機などの21世紀型の資本勘定危機では、外貨準備の何倍もの額が出口に殺到しており、資本の大量投入が必要となる。また、IMFが最後の貸し手になることは、他の新興国のモラル・ハザードを引き起こすことになる。よって、危機を未然に防ぐことが必要となる。
早期警戒システムの研究
早期警戒システムに必要なパネル・データは国の数が15~30程、期間は12~30年程度である。まず、危機を為替レートの大きな減価、金利の高騰、外貨準備の急減などの変数の組み合わせを作る。たとえ為替が減価しなくても、固定レートを維持するために、外貨準備を急減させたり、金利が高騰したりすれば危機と定義される。名目為替の変動率と外貨準備の変動率を加重平均で組み合わせた、為替市場圧力という値を作り、これが一定値を超えたものを危機と認定する。
日本にとっての有用性
日本の対外経済戦略にとって二つの利点がある。
一つは、日本の対外債権の戦略として。日本の円借款が多い国で危機が起こると、日本の国益にとって大きなマイナスとなる。二つは東アジアでの共通通貨の実現に向けて、マクロ経済のブレを少なくする為の相互政策監視。以上の二点で有用である。
参考資料
財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」
http://www.mof.go.jp/f-review/r81/r_81_177_200.pdf