アジア通貨危機におけるインドネシア 2010/5/28
108-085 大野 瑛介
1. インドネシアにおけるIMFの政策的失敗
第一に、危機の初期段階で、金融および財政引き締めによる早期の経済安定化を目指した点である。これにより経済収縮が起こり、重債務企業は収益低下を起こし、債務返済が一層困難になった。
第二に、性急な金融システム開発の実施である、十六行もの銀行が預金者保護無しに閉鎖したことが、金融パニックを引き起こした要因である。
2. その後の経済政策の展望
1999年に国家開発プログラムが制定された。
このプログラムの中で、国家が解決すべき課題を以下の五項目としている。
@ 増大する社会的紛争と国家の分裂傾向
A 法制度の不備と人権問題
B 緩慢な経済回復
C 社会福祉水準の低下
D 地方およびコミュニティーにおける開発能力の向上の遅さ
参考文献
黒岩郁雄(2002)『アジア通貨危機と援助政策 インドネシアの課題と展望』 アジア経済研究所
平川均・佐藤隆文(2003)『通貨危機後のアジア経済と改革の展望』名古屋大学大学院経済学研究科付属国際経済動態研究センター