H22.7.2
107-455 村山 欣央
地域ブランドの問題点(1)
前回、多くのアンテナショップの運営が赤字であることを確認したが、改めて地域ブランド展開を行った際の問題点を考えていく。
地域ブランド展開の具体的な問題点
・地域ブランドの最低必要条件
地域ブランドは、地域が一丸となって展開する必要がある。この研究では主に商品に限って地域ブランド戦略について考えていくが、ブランドの仕掛け人が単独で地域性を説いてブランド展開を行うのは現実的ではない。例えば、地域ブランドとしての商品がその地域で消費されていないものは信用力に欠けるし、地域ブランドを所有しているエリアで他所の地域ブランド商品を使うなんてもってのほかである。
・限定しすぎた地域でのブランド展開
あまりに狭い地域での地域ブランド展開は、名称や生産の都合上、その商品の拡張が難しい。一方で、高品質な商品を生産した場合、そのロイヤルティは絶大なものになる。どのような範囲でブランド展開をするか長期的な展望を持つ必要がある。
・ブランド展開と競争
ある地域ブランド展開を行うことは、同時にブランドとしての競争が生まれることになる。これによって大きなマイナスが発生することはないだろうが、マスメディアなどの第三者(もちろん消費者も含まれる)にとってはその地域性を含めブランド同士を比較検討することが可能になる。
ブランド化を検討する際は、事前に入念なリサーチを行い、商品としての優位性や地域の独自性を確立しておかなければならない。その理由として、ブランド化後の方針転換は既存顧客離れや信用力低下を引き起こしかねないことがある。
高付加価値商品の具体的な問題点
高付加価値商品は、一般的な商品よりも生産管理が厳しく、生産者に受け入れてもらえない可能性がある。また、その見返りである経済性についても保障されていない場合がある。経済性については生産者の努力によるところが大きいが、地域ブランドを展開したい組織が経済性向上のために何らかの形で生産者に歩み寄らなくては打開されない。
そのためにも、高付加価値商品は、地域ブランドとして地域の価値ある資産であると生産者に認識してもらう必要がある。
その他の問題として、消費者側に高付加価値商品の優位性を伝える必要性がある。商品によっては等級や賞などを取得できるものもあり、様々な手段を使ってPRするべきだろう。
参考文献・URL
加藤正明(2005)『成功する「地域ブランド」戦略 九条ねぎが高くても売れる理由』PHP研究所