H21.7.17
107-455 村山 欣央
宇治茶
京都府宇治市周辺で産出される茶。1623年から1867年まで、将軍御用の茶を江戸まで運ぶ「お茶壷道中」が行われるなど、古来より名茶として親しまれる。
茶の評価方法
基本的に品質は価格に比例するが、茶は他の食品とは異なり、等級審査の規格がない。ただし、茶摘みの時期によって一番茶、二番茶などの分類は存在する。
産地ブランドとしての宇治茶の新たな問題
2004年に社団法人日本茶業中央会が緑茶の表示基準を改定した。それに合わせて京都府茶業会議所は、「宇治茶」の産地表示を「京都・奈良・滋賀・三重の4府県産茶を府内で加工したもの」とする自主基準を決めた(=府内製造者が加工すればよい)。2003年時の自主基準試験導入時には「府内産50%以上」の基準が存在したが、削除された。これは府内産の茶葉が少ないという府内茶業生産、製造両者からの申し入れによるものだという。「牛肉偽装事件などの食品表示問題をきっかけに業界内で基準を策定する動きが強まったこと」が思わぬ形でブランドに影響を与えることとなった。上記の表示基準によれば、府内産茶葉を使用しなくても宇治茶を名乗ることができる。
他の多くの農作物ブランドが信用のために厳格な基準を設けている一方で、業界の保身で基準を緩和した例になる。しかし、「宇治茶」ブランドが使えなくなり、京都の茶業が衰退、消滅することを回避する苦渋の決断ともいえる。
各地の茶の茶畑面積と生産高(1991)
地域名 |
茶畑面積 |
生産高 |
京都府―宇治市、綾部市、木津町(現木津川市) |
1,700ha |
2,510t |
三重県―四日市市、南伊勢 |
3,900ha |
6,620t |
静岡県―全域 |
23,100ha |
44,100t |
茨城県―大子町、奥久慈 |
1,020ha |
504t |
参考文献、URL
松下智(2002)『緑茶の世界―日本茶と中国茶』雄山閣
http://ja.wikipedia.org/ ウィキペディア
http://www.nihon-cha.or.jp/ 社団法人日本茶業中央会
http://www.rakuten.ne.jp/gold/itohkyuemon/ 伊藤久右衛門
http://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/news/2004/0325-78.html 悪のニュース記事(本文は京都新聞)