H21.7.3

107-455 村山 欣央

農作物のブランド展開と現状

 

 地域団体商標制度の回(前々回)でブランド形成後(商標登録後)の問題点について少し触れたが、今回は農作物に限ったブランド展開と現状ついてもう少しみてみたい。

 

ブランド農作物の概要

ブランド農作物は一般的に付加価値を付けた農作物。商標登録されたものや、特定の品種(銘柄)がその代表。生産者やそれらが参加する団体等により生産や品質の管理が行われている場合が多い。

 

ブランド農作物の現状と問題点

 前々回では商標登録後の活用策がない、という「とりあえず権利化」について触れた。これはそれ以降のブランディングの具体性のないことが問題だ。しかし、ブランド農作物として知名度や存在感がある農作物も様々な問題を抱えているのが現状だ。

 ケース1: 関あじ・関さば(大分県)

関あじ・関さばは、水産物として初めて商標登録され、知名度が非常に高い。これらが商標登録をしたのは、多くの偽物が出回った結果である。商標による信用力の回復により価格が上昇した。しかし、ブランド化の成功により地産地消の概念が薄れ、以前から消費していた地元民から反発を受ける。現在は問題解決の多に様々な対策がされたが、ブランド化による広域展開、価格の上昇が招いた問題だといえる。

ケース2:TOKYO X(東京都)

ブランド豚の中で初めて日本種豚登録協会に新系統として認定された。ブランド化された家畜は飼育管理が厳しく、経済性が悪い。TOKYO Xは生産性でも一般的な豚に劣っているため、非効率的だと考えて生産者が増えないとされる。すぐれたブランドでも生産者にとってメリットがないと受け入れてもらえない。

 

 ブランド農作物共通の問題点として経済性、生産性の低さが挙げられる。ブランドに対するこだわりが低い生産者には受け入れてもらえず生産が伸びない場合が多い。その他、代表的な問題として農業の後継者不足がある。

 

参考文献、URL

安田龍平、板垣利明(2007)『地域ブランドへの取組み 26のケース』 同友舘

http://ja.wikipedia.org/                                                                                             ウィキペディア

http://alic.lin.go.jp/                                                                                                    独立行政法人農畜産業振興機構