H21.6.19

107-455 村山 欣央

地域団体商標制度

 

 地域団体商標制度は、いわゆる地域ブランドの保護により経済を活性化さようという試みである。200641日から施行された。農産物や海産物などの食品分野、織物などの工業製品分野、および温泉などの役務分野において出願される。従来の商標制度との比較は以下。なお、問題点は「地域名」と「商品(役務)名」の組み合わせた商標に対するもので、地域名を用いない商標には関係がない。

 

 従来の制度の問題点

   全国的な知名度を獲得したことにより、特定の事業者の商品であることを識別できる場合のみ、商標登録できる。

 地域団体商標制度による効果

 複数の都道府県に及ぶほどの周知性を獲得した場合には、地域団体商標として登録できる。

 

 以上の変更を踏まえて、この制度の代表的なメリットは以下のものがある。

 

 1.比較的早い段階から商標が保護されるので、知名度が高まるまでの間、その信用を保護することができる。

2.図形等を組み合わせた商標の保護の強化。これにより図形等の変更をしての使用、名称のみの使用を排除できるようになる。

 

 つまり、商標を持たず、ブランドの保護ができなかったものでも、一般的な商標よりも早い段階でブランド偽装商品を排除できる。さらに2によって図形を変更しての偽装も防ぐことができる。地域団体商標制度制定以前は、図形と名称の組み合わせによる商標はセットでないと同一の商標として認められていなかった。そのため名称のみの使用や図形を変更したものの使用の規制は行われていなかった。

 しかし、せっかく商標を登録しても、権利化後の具体的な活用策のない「とりあえず権利化」をする団体も多いという。商標の登録イコール地域ブランドの確立ではなく、その後の知名度の向上、品質管理などを行い、ブランドの質を高める必要がある。

 

茨城県の地域団体商標とそれ以前の地域名を冠した商標

地域団体商標       本場結城紬 笠間焼

商標                     常陸牛

※「本場」結城紬のように、一部形容詞の併用が認められている。但し、すべての形容詞を使えるわけではない。

参考文献、URL

安田龍平、板垣利明(2007)『地域ブランドへの取組み 26のケース』 同友舘

http://ja.wikipedia.org/                                                                                                              ウィキペディア

http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/pdf/t_dantai_syouhyou/t_dantai_gaiyo.pdf      地域団体商標制度の概要

http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl                                                                                  特許電子図書館