H21.5.15

107-455 村山 欣央

関東における観光資源と茨城県の現状5

 

5.観光資源の考察

 株式会社日経リサーチによると、茨城県の地域ブランド力[1]47都道府県中、45位と非常に低い。

日経リサーチの調査(以下同調査)では、観光資源(主に名勝地、特定の地域など。遊園地等は含まれない)と地域ブランド力を個別に調査しているので、

調査の順位の低さは観光資源と直接結びついているわけではない(例、日光東照宮のある栃木県は46)

しかし、観光資源が地域に与えるイメージや、それに合わせたまちづくり(温泉街など)といった副産物を考慮すると、

観光資源の影響は大きいと考えられる。

上記を踏まえて、なぜ茨城県の観光資源では地域ブランド力が付かないのかを考えたい。

同調査の調査項目には、地域の浸透状況(認知度など)、満足度・リピート意向がある。

前者はいわゆる知名度で、さらに住居・訪問経験が含まれる。後者は住居・訪問経験者の満足度と、再訪問の意向だ。

つまり地域ブランド力をつけるためには、1知名度を上げたうえで、2訪問してもらい、3また来たい、と思わせなければいけない。

茨城県の場合、1の時点でつまずいていると考える。

実際に学内生協において学生向けツアーのパンフレットが関東で茨城県と埼玉県の分だけ置いていない、という状況を先日目にした。

茨城と埼玉はツアーを組む価値すらないのか。おそらく違う。観光資源の知名度で大敗しているためである。

強力な観光資源の多くは地域が異質な空間になっている(これは筆者の経験による)

街並みや、そこにいる人物等が日常とはかけ離れたものであることが多い。雰囲気や風景など、環境を含めてとらえる必要がある。

遊園地でいうところのテーマパーク的な要素が大きい。一方で同調査では、銀座が由布院を押さえている。

おそらく湯布院はテーマパーク的要素を持つ温泉街であるが、銀座という特に観光地です。とアピールしていない地域に負けている。

この例では、銀座が特別といったものでなく、東京がすでに国際的観光地であることに注目したい。

つまり地域のイメージが観光地に逆に影響を与えていると考える(東京都4位、大分県34)

一般的な観光地のイメージと実際に調査した観光地のデータとでは上がってくる観光地が異なる場合がある。

ランキングなどで予想外の名前が挙がるのはこういったギャップによるものだと考える。

最後に、ランキングは目安であるが、決して観光資源の優劣を決定づけるものではない。

 

参考URL

http://www.nikkei-r.co.jp/                                                                   日経リサーチ



[1] 「地域ブランド知覚指数」(略して「地域PQ」)等を用いた測定。地域PQは地域ブランド力の総合指標で、ブランドの存在感や、ブランドに対する意向の強さに関する5つの質問を総合得点化したもの。調査は08年次のもの。株式会社日経リサーチ、地域ブランド戦略サーベイよりデータをお借りしています。