着終わった後はリサイクル
昔の人々は、着終わった後の着物も徹底的に活用していた。
*譲渡*
今日の洋服のように形が流行に左右されない着物は、もともと長く着られるようにできていた。
l 親から子へ…友禅や紬などの上等なものは譲り渡された。
l 姉や兄から妹や弟へ…普段着など。姉や兄のお下がりを着るのは日常茶飯事だった。
↓ 譲渡する人がいない時は
*リサイクル*
戦前の女性たちの多くが針仕事はお手のものだった。
l 布団
l 座布団 …これらに仕立て直して利用する。
l 綿入れ
l 雑巾…木綿の着物は最後には雑巾になって活用される。
² 幸田文(1904-1990)著の『きもの』の中には、病床の母のために娘が布団を新調する場面がある。その布団には娘が子どもの頃に着た縮緬の晴れ着が用いられており、出来上がった布団を触った母が昔を思い出し懐かしむ、という姿がかかれている。
当時の人々は、物を無駄にしない精神を、幼いころから身に付けていった。また、新しい着物をそう簡単に買えなかった庶民にとってリサイクルは暮らしの知恵であり、それと同時に、1枚の着物とともに流れた時間をそこに留める豊かな行為でもあった。 |