着物地の種類〜セル・メリンス・モスリン〜

 

明治末から大正時代にかけて、毛織物は一気に普及した。それまで主にヨーロッパから輸入されてきたセルジス・モスリン・フランネルなどはそれぞれセル・メリンス・ネルと呼ばれた。明治30年代からは原料の羊毛を輸入し、国内生産が本格化した。

 

*セル…梳毛(そもう)織物の一種。経糸・緯糸に細い梳毛糸を使って、平織りで織られた毛織物のこと。

l  縞柄・絣柄のほか捺染(部分染め)による模様のものもある。

l  春・秋の着尺地として単衣仕立てで用いられた。

l  着尺地以外にも、和服コートや袴地などに使われる。

 

*メリンス…梳毛織物の一種。薄地の平織りまたは斜文織で織られた毛織物のこと。

l  織りあげた後にガス焼きをして柔らかく仕上げる。

l  着尺地、襦袢、子供用の帯に用いられる。

l  捺染できる毛織物で、友禅染風の模様を染め出したメリンス友禅が一時期流行した。

l  モスリンとも呼ばれたが、「本モス」として区別された。

 

*モスリン…細めで太さのムラの少ない糸で経と緯の密度をほぼ等しく平織りに織った織物のこと。

l  名称はイラクのモスルという地で産出されたことに由来する。

l  着尺地や襦袢、半纏、女児の帯などに用いられる。

l  もともとは、梳毛糸を用いていてメリンスと呼ばれていたが、綿糸や絹糸、レーヨン、ポリエステル混紡、ナイロン混紡、ビニロン混紡などいろいろな繊維の織り糸を用いて織られるようになったため、メリンスとは区別された。

 

☆★梳毛織物★☆

羊毛など長めの獣毛繊維の縮れを伸ばし、平行にひきそろえたものを梳毛糸といい、その梳毛糸で織られた毛織物のことを梳毛織物という。