12月3日
107-387 藤澤桃美
帯のいろいろB
l 名古屋帯
*染めの九寸
芯を入れて両脇を縫いこんで仕上げた「九寸」の中でも、塩瀬や縮緬、綸子地などに友禅や手描き、型絵染めで絵柄をあしらったものが染め帯である。格は高くなくとも、おしゃれ心をにじませられるのが染め帯の良さ。
染めの九寸は、絵柄の愛らしさや季節感を楽しむコーディネートがとりえである。色や柄にもよるが、紬や小紋、色無地、御召まで合わせることができる。軽くて締めやすいものも多く、ちょっとしたお出かけに気軽に使えるだろう。ただし、古い年代の塩瀬の帯は少し古風な印象のものも多いため、古くさくならないようにコーディネートする必要がある。
*本つづれ帯
「本つづれ帯」は、独特の織り地に大きな特徴がある。機に経糸を張った後、緯糸をしっかりとかき寄せるという、手間のかかる技法で密に織りあげている。非常に高度な技術が必要とされる、丁寧につくられた帯である。生地を軽くたわませるとそのまま形が残るほどハリがある。緯糸だけで文様を表現しており、表側からだけでなく裏側から見ても文様が美しく見えるのもこの帯ならではだ。また、生地と文様の境目に、段のようになった僅かな隙間、“はつり目”があるのも特徴。
全体的に格は高めであり、金糸銀糸が入っているものはとりわけ格が高いので、留袖と合わせて結婚式に締めても恥ずかしくない。
本つづれの中でも、爪の先をノコギリのようにギザギザに削って緯糸をかき寄せてつくる爪つづれは、西陣織の最高峰で別格の高級品である。
*ちょっと復習…*
1. 塩瀬
塩瀬羽二重の略称で、横畝のある厚手の羽二重のこと。主に帯地に使われている。
2. 御召
御召縮緬の略称。織りのきもので、しぼ(表面の凹凸)を出した独特の風合いが特徴である。一般に、織りのきものは染めのきものより格下だが、御召は結城紬や大島紬とともに準礼装にも使える。