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107-387 藤澤桃美

帯のいろいろA

l  名古屋帯

 長さが95寸(約3m60cm)程度ならば名古屋帯。同幅で仕立てた開き仕立てのものと、お太鼓部分を並幅(30cm)に、胴に巻く部分をその半分(15cm)に仕立てた名古屋仕立てのものがあり、お太鼓結びにする。名古屋帯は、その中でもさらに「八寸」や「九寸」、「織り」や「染め」に分類される。色無地、小紋、紬などに合わせて締めることができ、ごくカジュアルなものからちょっとしたよそ行きの着こなしまで、幅広く使える最も一般的な帯である。

 

*八寸

 「八寸」と呼ばれる名古屋帯は、裏地や芯がなく、帯地を一枚で仕立ててあるのが特徴である。(単衣仕立てが基本だが、お太鼓部分だけを引き返しにして二重にしているものが多い。)芯がなくても形が整うように、ざっくりと織り上げてあるものやハリのある織り地のものが多く、両脇もお太鼓の部分をかがらずに帯地の幅(約30cm=八寸)のまま仕上げてある。総じて、カジュアルな印象のものが多く、軽くて手早く締められるため日常使いに活躍する。木綿のきものや紬に合わせ、普段着として気楽に使うのがおすすめである。

 しかし、そんな八寸も絵柄や素材感によっては少し格が上がる場合もある。きもの=晴れ着になりつつあった昭和3040年代頃に、金糸銀糸を織り込んで、やや華やかな雰囲気を漂わせる八寸帯が量産された。また、博多織の帯は、八寸の中でもやや別格の扱い。紬から小紋まで、さまざまなきものに合わせられる上に、季節を問わずに使える便利な一本で、紺色や朱色は浴衣に合わせるのも良い。

 

*織りの九寸

 九寸(約34cm)幅の反物を使い、芯を入れて両脇を縫いこんで仕立てたものが九寸帯である。仕上がりは八寸になるため、サイズとしては八寸と同じ。中でも、織りのものはモチーフとなる絵柄や素材感により、日常着からちょっとしたよそ行きまで格のあるなしもさまざまだ。格を見極める手がかりは金糸銀糸が含まれているかどうか。古典柄で金銀など光る素材が織り込まれた帯と、更紗のような素朴な風合いの帯を比べると、更紗の方がよりカジュアルなものと判断できる。一見、金銀に見えるラメはキラキラしていても格の象徴ではないので、おしゃれ着感覚で紬や小紋、御召に合わせる。ラメタイプの格を判断する場合には、柄行きに注目して考える。