着物地の種類〜紬〜
*紬…紬糸で織った布、またはその布で仕立てた着物。庶民の憧れの着物だった。
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製糸には不向きなくず繭や、ひとつの繭に2匹以上の蚕が入った玉繭を引き伸ばして作った真綿をつむぎ、よりをかけた糸のこと。手つむぎなので糸の太さにばらつきがある。 |
l 手機(てばた)で織るもので、織り上がった紬には独特の風合いがある。
l 紬の着物は何よりも丈夫。かたい着物とされるが、袖を通すほどに風合いや着心地が増す。
l かつては農閑期に農家の女たちの手で織られたが、現在では伝統工芸として数少ない人の手で伝えられるのみ。
○●有名な紬●○
塩沢紬、十日町紬、牛首(うしくび)紬、上田紬、郡上(ぐじょう)紬、久米島紬、結城紬、大島紬など。中でも結城紬と大島紬は紬の最高級品とされ、明治のころから既に「一生もの」と言われるほどの価値があった。
² 大島紬
染色方法に特徴がある。染液は鹿児島県奄美大島に自生するテーチキ(車輪梅)の枝を煮出したもの、媒染剤は泥を用いる。この糸で織った泥大島(黒大島)が大島紬の代表格である。他にも媒染剤に桜島の灰を用いる白大島や藍大島、泥藍大島、色大島などがある。繊細な絣模様を織り出すことから、かつては大島絣とも呼ばれた。
² 結城紬
国の重要無形文化財である。繭をお湯に浸し、広げて真綿にしてから手で紡いだ糸を用いる。ツルツルとした手触りの生糸とは異なり、空気を多く含んでいるため温かいのが特徴。また、織り上げた時に絣柄ができるように糸の状態で糸くくりをして染め残しの部分をつくる。この染め残しの部分を綺麗に出すために行う「叩き染め」の技法は結城紬独特である。