着物地の種類〜更紗〜
*更紗(さらさ)…異国の地で染められた布の総称。室町時代末期ごろから南蛮の船によってもたらされた。染められた国により、インド更紗・ジャワ更紗・エジプト更紗などがある。更紗は日本で呼ばれる名称で、世界的にはジャワ更紗の「バティック」、インド更紗の「チンツ」が更紗の世界共通名称となっている。独特の趣が大名や豪商に珍重され、茶道の道具のひとつ、棗を入れる仕覆(しふく)や、茶碗を入れる袋物に使われた。当時の本物の更紗なら、今では間道(かんとう:縞織物)などと同様に名物裂(めいぶつぎれ)としての骨董的価値がある。
☆★特徴★☆
@ 型紙を用いる型染めと手描き染めの2種類に分かれる。防染には糊ではなく蝋が用いられる。
A 草花などをモチーフにした複雑な連続模様。国によって模様は異なるがこれは共通している。
B 茶系や藍、臙脂、紫などやや渋めの色が多い。華やかな友禅とは好対照で、異国情緒に溢れている。
*和更紗(わざらさ)…江戸中期ごろに国内の職人が更紗を模して染織をはじめたもの。更紗に対して和更紗と呼ばれる。鍋島更紗・長崎更紗・堺更紗・京更紗などが有名。縮緬や羽二重に染めた和更紗は、当時好まれた結城紬や唐桟(とうざん)木綿に合い、人気があった。和更紗のうち、今も引き継がれているのは「天草更紗」くらいである。