着物地の種類〜上布〜
*上布…イラクサ科の苧麻(ちょま)の上質な糸で織られた布のこと。苧麻とは麻の一種。しゃりっとした感触が涼しげで、夏の高級織物の代表格である。
1. 越後上布
1200年の歴史をもち、江戸時代の武士の正装、裃(かみしも)の素材として献上された。苧麻の手つむぎした糸を「居坐機(いざりばた)」で縞や絣柄に織り出し、織り上がったものを雪の上に広げて雪晒するという伝統的な技法で織られている。この技法は重要無形文化財に指定されている。
2. 能登上布
「能登縮」「阿部屋縮」ともいわれる。能登では平安時代から麻の栽培が行われ、江戸時代には多くの麻織物が生産された。明治31年に国鉄が開通したことにより全国に広まったが、戦後の麻織物の減少により生産量も減っている。主に男物の白絣・紺絣が生産されている。
3. 宮古上布
琉球王朝時代から続く宮古島の「宮古上布」はかつて「薩摩上布」と呼ばれていた。藩政時代、琉球は薩摩藩の統治下にあり、琉球の織物は経由して売りに出されていたためである。第二次世界大戦後から産地である宮古島の名前をとって「宮古上布」と呼ばれるようになった。
越後上布 能登上布 宮古上布