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107-387 藤澤桃美

 

きものを着た後は…B

 

*畳紙を正しく使った保管の仕方

畳紙は、きものを季節や素材別に整理する時にはとても便利である。畳紙に入れられたきものは湿気の少ない時季に換気や虫干しを行い、畳紙が変色してきたら交換する。

長期の保管には畳紙を外してそのまま箪笥に収めればよい。もし何かに包んで入れたいのであれば、畳紙の代わりに畳紙と同じ寸法できものを包める布製のものがある。糊を抜き切った白木綿や洗いざらしの木綿のシーツを切ったもので代用しても良い。

 

*防虫剤の入れすぎに注意

 防虫剤を多ければ安心とばかりに入れすぎるのは禁物である。きものの防虫に一番良いのは、乾燥させた銀杏の葉だ。秋に落葉したものを拾い、綺麗に洗ってから45日天日干ししたものを用いる。こちらはたくさん入れるほど効果がある。

 

*箪笥以外できものを保管するには

昔からきものには桐の箪笥が一番良いと言われてきたが、現代においてきもの専用の箪笥を持っていることは多くない。そこでおすすめするのが洋服の押し入れ収納に利用するプラスチックの衣装ケースである。ただし、底には必ず簀を敷き、その上にきものを三つだたみにして重ねる。他に、窒素ガスでパック状態にしてきものを安全に長期保管できる方法もある。定期的に専門店で保存袋の窒素ガスを入れ換える必要があるが、防虫剤や乾燥剤も要らず、保管場所の環境も気にしなくて良いので便利である。また、ダンボールでの保管は湿気を呼びやすいのできものには適さない。

長期保管によるたたみじわが心配なら、折り返し部分に布製の筒を入れたり、重ねじわのできやすい部分に薄布をはさんだりすると良い。

 

*湿気と直射日光は大敵

 収納してあれば直射日光は避けられるが、湿気は注意しなければ忍び寄ってくる。もしきものを箪笥の中で長期保管する場合は、必ず一年に12回は虫干しをする。一年中で最も空気が乾燥する時季、二月か三月が最適である。もしくは十月、十一月の間に済ませる。雨の日は避け、湿気の多い梅雨の時期には出し入れしないようにする。風を通す時間帯は午前十時から午後二時頃までの間、布団を干す時間帯と同じと覚える。