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107-387 藤澤桃美

 

きものを着た後は…@

 

 せっかく誂えたきものも、きちんと手入れをして正しくしまい、適切な管理を施さないと扱い次第で台無しになってしまうこともある。きものは大切に扱いさえすれば、孫の代まで伝えることができる息の長い衣服である。末永く、そしていつも綺麗に着るためには、正しい知識が必要だ。

 

*きものは脱いだらすぐに風通し

きもの、帯、襦袢は脱いだらすぐ、別々にハンガーまたは衣紋掛けに掛けて、一晩風を通す。(一日くらい掛けておけば、よれた布目も戻る。)きものや帯には体温や見えない汗がこもっているので、これらを除くために風通しの良い部屋を選んで干す。直射日光を避けることが肝心であり、部屋の蛍光灯も消しておく。

汗できものが湿っていた場合は、脱いですぐにハンガーまたは衣紋掛けに掛けた状態で、胸や背中、帯の下になっていた部分をドライヤーの温風で乾かす。ドライヤーは必ず着物から5cm位離してあてる。

 

*シミや汚れを点検する

 ハンガーまたは衣紋掛けに掛けてあるきもの、帯、襦袢を見て、シミや汚れの有無を点検し、乾いたタオルやガーゼなどで、肩、袖口、裾など上から下へ軽くたたくように埃を払い落す。ブラシを使う場合は、生地を傷めない素材のものを用意する。ベンジンで汚れを用いる場合は、四つ折りにしたタオルをさらに三つ折りにし、たっぷりとベンジンを含ませて手早く拭く。その後、拭きとった部分を手早くよく振り、ベンジンを揮発させてからドライヤーをあてて、風通しを必ず行う。乾かし足りないと色焼けや匂いが残る原因となる。なお、ベンジンはきもの地を弱めることはない。

 また、半衿は直接肌に触れるものなので、汚れが目立ったら外して洗うように心掛ける。特に白半衿は汚れが目立ちやすいため、こまめに点検する。半襟の付け替えが大変ならば、ベンジンを用いる。

 

*足袋の汚れは…

 足袋はいつも真っ白な状態で履きたいもの。足裏の汚れは落ちにくいため、ブラシでこすり洗いをした後、洗濯機で洗う。履く前の一工夫として、衣服用の糊スプレーを噴霧しておくと後で汚れが落ちやすい。外出時に足袋カバーを着用するのも手である。