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107-387 藤澤桃美

 

最初の1枚は何を買う?A

 

*地味めの小紋がおすすめ

 「最初の1枚」ならば、遊びに出かけたり楽しんだりするための普段着のようなきもの、つまり小紋以下のきものを選ぶ。だが、大雑把に小紋以下のきものといっても結局どんなものを買ったら良いか分からない、という初心者におすすめするのは地味めの小紋である。それも、友禅や縮緬など、1度着たら覚えられてしまうようなものではないものが良い。たとえば、チェックや、昔ながらの江戸小紋っぽいけれど江戸小紋ほど渋すぎないものなどだ。「分かりやすい変換表」でいえば、「アフタヌーンドレス」や「ワンピース」にあたるものである。

 

*紬をおすすめしない理由

 最初から紬をおすすめしない理由はいたって簡単なもので、「紬は高い」からである。紬はピンからキリまであるが、安い紬は安っぽいのが実状であり、買うとしたら高いものになってしまう。しかし、その割に結局はカジュアルにしか着ることはできない(結婚式にも紬で出席する人はいるが、それはちゃんとした信念や知識、着こなし、キャリアがあるからこそ認められること)。「最初の1枚」で紬を選び、どこにゆくにもそれだけになってしまうと、周囲からは「あれしかないのね」ということになってしまう。それは避けたいことである。

 

*色は?

 色は、あまりケバくないものを選び、真っ赤やまっピンクは「可愛い」と思ってもぜひ避ける。着物はあっという間に似合わなくなるものだ。決して安からぬものを買うのだから、なるべく長持ちするよう考慮すべきである。それに、実を言うと、若い子ほど濃い緑や茶、紺、黒といった地味な色が似合うのであって、年をとったらむしろちょっと明るめの色を、とされる。そうはいっても、基本的には「自分が洋服で1番馴染んでいて、似合うことに自身のある色」にするのが1番である。「洋服だったら自分はこうだから…」と念頭におくと選びやすい。

 

「最初の1枚」の結論は、自分が普段着ている洋服のジャンルからそれほど極端に遠すぎないものが良い、ということだ。色も、生地も、素材も、お値段も、そうやって選ぶことで、その方がずっと自分に合ったナチュラルな着こなしになる。