2011年1月21日
107-347 野村 雄基
中国バブルD
中国バブルと、日本のバブルの類似点、相違点をみていくと、中国バブルは日本のバブルと同じようではあるが、日本の教訓を生かし、投機取引を抑制する動きを見せており、実際に住宅取引が減少してきているとの報道もされている。また注目したいのは、中国のGDPと人々の所得が高水準で伸びているというところだ。バブルが崩壊する前の日本は、所得の伸びが鈍化していたために、バブルが崩壊した後、地価が下落してもなかなか不動産需要が回復しなかった。中国の場合、所得が大きく伸びているので、住宅価格がいったん下落すればほどなく需要が回復すると考えられる。仮に数年後に中国で不動産バブルが膨らみ、崩壊しても、その後の不況は日本のバブルと比べると軽く、かつかなり短く終わると予想される。
また、中国バブルがいつ崩壊するのかはわからないが、その兆候みつける判断材料はある。一つは中国の経済成長率が鈍化した時に、政府がきちんと金融引き締めができるかどうかだ。これができなければ日本のバブルの教訓は生かされなかったことになる。もう一つは欧米諸国の経済状態だ。今の世界経済は全体として不況であり、中国の好況が牽引している状態である。そして、中国バブルの1つの要因が海外からのホットマネーであることを考えると、欧米諸国の経済が回復した時、中国からホットマネーが引き上げられる可能性が高い。中国バブルを考える上で、この二点は非常に重要なことだといえる。
参考資料
WEDGE Infinity http://wedge.ismedia.jp/