201117

107-347 野村 雄基

中国バブルC

 過去のバブルを見てみると、中国バブルと日本のバブルは非常に似ているところがわかる。そこで、中国バブルと日本のバブルの類似点、相違点を挙げ中国バブルがどうなるかを考察していく。

 

日本のバブルとの類似点

中国バブルと日本のバブルの似ている点は二つある。一つは高成長しているにもかかわらず金融緩和が継続されている所だ。日本でプラザ合意後の円高によるデフレ圧力や景気悪化懸念に対して積極的な金融緩和策が採られた。しかし、事前の危惧とは異なって大した不景気がなかった上に、国際的圧力を懸念して、金融引き締めへ転換が遅れ、金融バブルを加速させてしまった。現在の中国でも金融危機後の輸出急減に伴う不景気への懸念が依然として存在しており、高成長にもかかわらず、積極的な財政支出と緩和的な金融政策が継続されている。

もう一つは土地神話によるものだ。土地価格は長期的に見れば下がることはなく、不動産を保有して得することはあっても損はないとの思い込みが土地保有への執着を強くし、日本の土地バブルは加速していった。中国でもこれに似た傾向があり、近年の住宅価格の上昇が所得増を上回っていて、早く住宅取得しないとますます住宅が買いにくくなるとの気持ちは強い。さらに、金融商品がまだ十分には充実していない中で、住宅は有力な金融投資の対象となっており、自宅以外にも住宅を保有する富裕層が増えている。

 

日本のバブルとの相違点

日本のバブルと中国バブルの異なる点は、中国では資産価格全般の高騰に至っていないことがあげられる。数年前に高騰したとはいえ、中国の株価は現在落ち着いた推移となっており、当時の日本のような株価の高騰は見られない。また、不動産バブルの認知度合いにも違いがある。当時の日本では、不動産価格高騰に警鐘を鳴らす向きはあったものの、対策が後手に回り、極端な地価下落とそれによる、企業金融機関や個人への大きなダメージを防ぐことができなかった。一方、中国では、日本のバブルの教訓もあってか、不動産バブルへの懸念が高まりつつあり、不動産取引への規制も強化されつつある。2010415日には住宅ローンへの規制強化が発表された。それは、@初めての住宅購入の場合、頭金の割合を20%から30%に引き上げ(90平米以上の物件が対象)、A2軒目の住宅購入の場合、頭金の割合を40%から50%に引き上げ、B2軒目の住宅購入に適用する住宅ローン金利は基準金利の1.1倍以上とすることを銀行に義務付けるなど、投機取引を抑制する規制が決定された。 

 

参考資料

WEDGE Infinity      http://wedge.ismedia.jp/