2010年12月3日
107-347 野村 雄基
中国バブル@
中国でバブルが始まったのは、2003年辺りからと言われる。2001年に中国がWTOに加盟して、本格的な経済発展に乗り出して間もない頃だった。株価は順調に上昇を続け、2006年末になると相当に加速感がついた。2007年の上海総合指数は、年初に2600ポイントだったのが、同年の秋には6000ポイントを超えるところまできた(図1)。
バブルの要因
株価上昇の背後にあったのは、海外から中国本土に大量流入したホットマネー(熱銭)だ。ホットマネーの流入は、2007年合半と2008年後半に目立ってくる。日銀のレポートによると、2007年上半期は225億ドル、下期は702憶ドル、2008年上期は1391億ドルとホットマネーの流入は勢いを強め、2008年下期になってマイナス1848億ドルと一転して流出増に変わった。2008年下期にはリーマンショックがあり、当初のバブルはここで潰えている。
図1: 上海総合指数の推移
もうひとつ、ホットマネーの行き先には不動産投資もあった。2007年・2008年には北京、上海といった大都市の不動産価格が急激に値上がりした。不動産価格の高騰は、沿海部から深く内陸部にまで波及していった。しかしこの不動産バブルの雲行きは、リーマンショックよりも手前から怪しくなる。2008年3月にはチベットで騒乱があり、5月には四川大地震が起こった。政情不安は、海外マネーを慎重にさせる。2008年はこうした不安を抱えながら北京五輪が開催され、その直後にリーマンショックに見舞われた。不動産投資に手を染めていた欧米、オーストラリアの外資系金融機関は不動産開発プロジェクトで取得していた資産を中国本土企業に営業譲渡するなどして、一斉に撤退をしたのである。ホットマネーの逃げ足は速く、中国の不動産価格が暴落したのをみて、海外企業は次々に撤退していった。
参考文献
熊野英夫『バブルは別の顔をしてやってくる』日経プレミアムシリーズ(2010)
投資情報サイトInvest walker
http://www.investwalker.jp/shisuu/stock-asia05SHCOMP.shtm