2010年1月29日
107-347 野村 雄基
投資の行動心理学(4)
対策4 トレーリングストップを使う
利食いをできるだけ遅らせる方法として「トレーリングストップ」がある。「なるべく利食いはゆっくり、損切りは早く」というのが正しいトレーディングの方法だが、ほとんどの人はちょっと利食いをするとすぐ売ってしまうし、損切りはなかなかできない。これを解消する方法がトレーリングストップである。
為替取引で説明すると、例えば108円で買い、109円になったとしたら、「売れば1円儲かるけど、今売って、もしも112円になったら後悔するから売りたくない」と悩む。
そういう時に、108.50円の売り注文(ストップ注文)をいれておけば、少なくとも50銭の利益を確定できる。その後もし109.50円になったら、108.50円の売り注文をキャンセルして、今度は109円の売り注文(同じくストップ注文)にするというふうにストップ注文のレベルを上げていくわけである。このように、上がっているレートの下にストップロス注文をかけていくことで、利益を確定させて利食いを遅くするのがトレーリングストップである。一方、損切りについても目標値に到達してから売り注文を出すのではなく、ストップ注文を最初にポジションを作る時点で設定しておけば、感情に流されることもなくなる。
リスクを落とす勇気を持つ
感情的にならないためにもっとも重要なことは、リスクを取りすぎないことである。リスクを落とすことは期待リターンが落ちていくことになり、あまりやりたくないことだ。しかしリスクを課題に取っていると感情に支配されてしまい、正常な投資判断ができず、長期のリターンに結び付かないのである。資産全体のリスクコントロールを考えることが長期投資の成功のポイントである。
参考文献
内藤忍『内藤忍の資産設計塾』自由国民社(2008)