20091218

                                                            107-347 野村 雄基

                      投資の行動心理学(3)感情をコントロールする方法

 

 行動心理学の罠に入らないようにするための感情のコントロールには、いくつかの方法がある。

n  対策1 目標値を設定して実行する

 プロスペクト理論で説明したような失敗をしないために、投資の前に目標値を設定して実行する方法がある。たとえば株式を1000円で購入した場合、利食いは1300円、損切りは900円というようにターゲットを設定しておき、その値段になったら利食いか損切りのいずれかを行うという方法だ。このとき注意すべきなのは、利食いの幅を損切りに比べて大きく取っておくことで、12あるいは13といった比率にしておく。このように目標値でしっかりと取引ができないと、さらに損失が拡大しそのうち株価を見るのも嫌になって、相場を見なくなってしまう「塩漬け株」になってしまう。

 

n  対策2 評価損が出ている株の整理法

 評価損が出ている株式を保有している場合、自分が今、全く取引をしていないと仮定して、新たにその株を買うか買わないか考えてみる必要がある。今なら買わない、と思うのならすぐに損切りをすべきである。もし逆に今でも同じ株を買いたい、と思うなら株は継続保有し、買い増しを検討してもいいだろう。投資判断で重要なことはいくらで買ったかではなく、現状の価格が本来の価値に比べて割安か割高かという判断だからだ。

 

n  対策3 過去の失敗を記録する

 株や投信を買う時に、買う理由、利食いの価格、損切りの価格、保有する大体の期間を書いた「取引記録ノート」に書いておく。実際に決めておいた目標に到達したら予定どおりに売る。この方法なら自分を管理することもでき、データがまとまれば自分の投資方法について反省することもできる。

 

参考文献

内藤忍『内藤忍の資産設計塾』自由国民社(2008