2009年12月4日
107-347 野村 雄基
投資の行動心理学
感情に流されて投資を行うと、思った通りのリターンに結び付きにくいのは、行動心理学の罠に陥っているからである。人間は多かれ少なかれ感情的な動物だが、感情に支配されてしまう典型的な投資行動パターンを理解し、その対策を考えておくことで投資のリターンの向上が期待できる。
プロスペクト理論
投資にかかわる行動心理学の中で、最も有名なものはプロスペクト理論である。このプロスペクト理論を理解するのに、例を挙げるのがわかりやすい。
例:以下の質問に答えよ
質問1 どちらを選ぶ
A:必ず800万円もらえる
B:1000万円もらえるが15%の確率で0円になってしまう。
質問2 どちらを選ぶ
C:必ず800万円支払う
D:1000万円支払うが15%の確率で0円にしてもらえる。
2つの質問にそれぞれ回答してもらうと、AとBではAを、CとDではDを選ぶ人が多くなる。しかし、期待値で計算してみると合理的な選択はBとCであることがわかる。このように、プロスペクト理論とは人は利益を得ている状態においては利益を確定する行動をとり、損失が発生している状況では損失を確定しない行動を取るという行動パターンを説明したものである。
利益は小さく損は大きく・・利小損大の原理
プロスペクト理論の示す感情のままに投資をすると「利益は小さく損は大きく」なってしまう。損をすることに対する恐怖が大きいため、以下のような行動になりやすいからである。
·
買って少し上昇した。利益は少しだけど上がると怖いので利益を確定させよう。
·
買って少し下げた。損はまだ少ない。損をするのは嫌だしここから上がるかもしれない。
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買ってかなり下げた。損は大きい。しかし、損をするのは嫌だからもう少し待とう。
感情的な取引を行うと、利食いが早くなり、損切りが遅れるという投資行動になり、結果として、利益を得るときは小さく、損失が発生するときには大きくなってしまう。
参考文献
内藤忍『内藤忍の資産設計塾』自由国民社(2008)