20091127

107-347 野村 雄基

                               金融商品としての保険

 

 資産設計の観点から保険について考えることは2つある。1つは金融資産と認識できる保険と、金融資産にならない保険を分けて考えることだ。もう1つはコスト意識の徹底だ。必要な商品を厳選し、資金の効率化を検討すべきである。

 

金融資産になる保険・ならない保険

 自動車保険や自宅の火災保険は資産ではなく費用である。同様に生命保険も死亡保障や入院保障といった保障は、資産として計算することはできない。例えば、死亡保障5000万円の保険金を受け取るのは本人ではなく相続人で、自分自身の夢や目標を達成するための資金にはなりえないからである。逆に、生命保険でも年金保険のような貯蓄性のものであれば、資産として組み入れることができる。変額保険や学資保険などがこれに含まれる。

 

 保険は、人生のリスクをヘッジする商品としての価値はあるが、そのコストは安くない。過剰な保険は、本当に必要なお金が手に入れられなくなることにもなり逆効果である。例えば、死亡保険は、残された家族の生活の収入を保証するのが目的だ。大半の人は同じ保障金額で一定の年齢まで加入しているが、実は必要な保障額は年々減っていく。将来の予想給与収入を補うのが目的なら、定年時には死亡保険は不要になる(図1)。生命保険は、@終身保険、A養老保険、B定期保険、C年金保険などに分けられるが、資産としての価値があるかという観点から分類しておく必要がある。

 

図1 死亡保険の保障額は年々減らすことができる

30

45

52

60歳➟

27

42

49

57歳➟

0

15

22

30歳➟

保障額の例

4000

4000

子の独立以降は保証額を減らせる

500万➟0

 

 日本では必要のない保険に何となく入っている人が、まだ多いようである。生命保険の勧誘員に勧められたものを確認することなく、言うなりに支払っているケースが目立つ。必要のない保険を解約し、その資金を資産運用に活用することでお金の効率的な活用ができないか考えることが必要である。自分が入っている保険内容をよく知らない人は、今すぐ自分の保険証書を取り出して契約内容を確認し、必要であれば、第三者的な立場でアドバイスをしてくれる保険の専門知識を持つファイナンシャルプランナーなどへコストを払っても相談すべきである。

 

参考文献

内藤忍『内藤忍の資産設計塾』自由国民社(2008