平成21年11月6日
『紂王2』
106-381伴 明典
剖腹
殷の紂王は希代の暴君といってよい。
紂王は炮烙や釜ゆでなど非人道的な刑罰を考え出したばかりでなく、大臣の腹を裂いて心臓をえぐりだす先例をつくったのも彼であった。
紂王のおじである比干は紂王の無道を目の当たりにして、臣下は君主を諫めなければならないと思いじきじきに諫言した。しかし、紂王の怒りにふれてしまった。
「聞くところによると聖人の心臓には七つの穴があるというがそちはどうだ」
というと紂王は周りの者に命じ比干を捕えさせ、腹部を切り開いて心臓をえぐりだし穴の有無を調べた。
賢人の心を剖く『尚書』、比干、心を剖かる『荘子』など古典にも書かれている。
また、紂王は妊婦の腹を生きたまま切り裂き、胎児を取り出して男か女を検分するという暴挙までしでかしている。
剖は後世にも伝えられ非常に恐れられた刑の一つになる。
参考文献
王 永寛 (1997)『酷刑−血と戦慄の中国刑罰史』鞄ソ間書店