平成20627

 

『晏子と霊公』

106-381伴 明典

 

牛首馬肉

 霊公は、女性が男装することを好んだので、都の女性は皆男装をしていた。公は、役人にこれを禁止させて、「女子で男装をする者は、その衣を引き裂き、その帯を断ち切るものとする」と言った。衣引き裂き帯断ち切られるものが相次いだにもかかわらず、その流行は止まらなかったので、公は晏子に理由を尋ねた。

 晏子はこう答えた「ご主君が宮中で男装をさせておいた、外で禁じるのは、ちょうど牛の首を門にかけておきながら、店内では馬肉を売るようなものです。公はなぜ宮中のものにも男装を禁じないのです。そうなされば外でも男装しようとはしなくなるでしょう」と言った。宮中の者に男装をやめさせると、晏子が言った通り翌月から男装するものはいなくなった。

 

羊頭狗肉

羊頭狗肉は、見せかけの実際の内容や中身が違うこと、という意味を持つがこれには直接の出典は無い。これは、上記の晏子と霊公の会話が元になった故事成語である。

 文中の、「猶懸牛首于門、而売馬肉于内也」が変化して変化したものである。

この句が、「懸羊頭売馬肉」などとかかれることがあったためである。

 

 

 

参考文献

谷中信一 (2003)『晏子春秋 下』 明治書院