作画B(彩色)

2009619

106259 高井陸雄

 

原画や動画が出来上がると、それらは彩色の工程に回される。そこではまず色の指定が行われる。一枚の絵を完成させるのに必要な色は人物だけでも、髪の毛でノーマルと影の最低2色ずつ、さらに口の中の歯や歯茎や舌の色なども細かく指定されており、それが人物ごとに違うので何十色にもなる。

色の指定が終わると2009年現在では、動画用紙に書かれた動画をパソコンに取り込みデジタルデータにすることが多い。この工程は「スキャン」と呼ばれる。スキャンの際に一本の線の中で太さの変化は写し取れるが、鉛筆の濃さの変化はうまく写し取れない。そのためスキャンの後には途切れた線の修正を行う。

デジタルデータでは色を塗る部分が閉じていないと、隙間から塗り漏れを起こし、色を塗ることが出来ない。そのため線の修正は必須となってくる。セルに直接書いた場合は多少線が繋がっていなくても、絵の具を用いて彩色を行うので塗り漏れは起こらないという利点がある。

線の修正が終わるといよいよ彩色を行う。セルを使っていた頃は絵の具を塗った後に乾かす手間が必要だったが、デジタルペイントではそれがないため作業効率が大幅に上がった。また絵の具と違い同じ色を連続して使用するのが容易なこと、さらに特定部位を拡大して細かな彩色が可能であること、彩色の誤りがあっても修正が容易であるなどの多くの利点がデジタルペイントにはある。

彩色が終わるとアニメにおける動く素材が全てそろうことになる。

 

参考文献

平凡社新書 『アニメーション学入門』津樫信之、2005

 

誠文堂新光社『アニメーション制作の教科書 アニメーション・バイブル』2009