平成20530

「内的参照価格」

小野寺 宏

 

われわれ消費者は、製品の販売価格を目にしたときに、何気なく「高い」「安い」あるいは「妥協」などと評価する。このような評価は主観的であり、消費者自身が参照する価格を基準として、価格を相対的に評価することによって生じたものである。この参照する価格は内的参照価格と呼ばれる。

 

内的参照価格」とは、消費者が価格の妥当性や魅力度を判断する際の基準として記憶から想起する価格で、言い換えれば、「消費者が妥当と考える価格」。

 

内的参照価格のタイプ

 消費者が用いる内的参照価格にはいろいろなタイプがある。それらのタイプは、消費者の期待や願望を反映させたものと、過去に観察した価格を反映させたものに大別される。それぞれに典型的な内的参照価格は次の通りである。

 

@ 消費者の期待や願望を反映した内的参照価格

公正価格:過去に設定された価格、品質、製品コストなどを考慮した上で公正であると判断する価格。

最低受容価格:これよりも低いと、品質に問題があるのではないかと疑わしく感じる価格。

保留価格:これよりも高いと、品質を考慮しても高いと感じる価格。最高受容価格ともいう。

期待価格:このぐらいで販売されているだろうと予想する価格。

 

A 市場価格を反映した内的参照価格

最低観察価格:これまでに観察した価格の中で、最も低いと思う価格。

最高観察価格:これまでに観察した価格の中で、最も高いと思う価格。

平均観察価格:これまでに観察した価格の中で、平均的だと思う価格。

通常価格:通常設定されていると思う価格。

購入価格:過去の購買で支払った価格。

 

 

<参考文献>

白井美由里(2006)『このブランドに、いくらまで払うのか』日本経済新聞社