平成20523

「プレミアム・ブランドの選考」

小野寺 宏

 

ブランドに生じている変化

 日本人がブランド志向であることは昔も今も変わらないが、変わったことといえばプレミアム・ブランドの普及が進んだことだろう。国内にある直営店が増え、プレミアム・ブランドはますます買いやすくなっている。

 このような状況の中、プレミアム・ブランドへの選考は二極化の様相を呈している。それは「高価格帯への選考」と「手の届く価格帯への選考」である。

 

高価格帯への選考は、プレミアム・ブランドの価格帯の中では高いほうに位置する製品への選考であり、高いゆえに所有者が限られる高価格製品への選考である。

 このような選考を持つ富裕層に対応した製品を提供する動きもある。たとえば、グッチは従来の主力製品よりも価格が三〜五割高い価格設定のグッチシマというバッグ・小物のシリーズを発売している。ブルガリは、価格が10万〜30万円代からであった従来の宝飾品シリーズよりも高い、六十万台のサファイアフラワー・コレクションを販売している。

 手の届く高級品への選考は、プレミアム・ブランドの価格帯の中では低いほうにあり、無理をしなくても少し頑張れば買うことのできるブランドへの選考である。このような選考の対象となる商品は「手の届く高級品(アクセンシブル・ラグジュアリー)」と呼ばれている。近年かなりの注目を浴びている市場である。この手の届く高級品が位置づけられる価格帯、すなわち高価格と低価格の中間的な価格は、以前よりブリッジとかアッパーモデレートなどと呼ばれている。

この市場をターゲットとして、新たに商品を投入している企業は多い。例を挙げると、シャネルがある。シャネルは顧客層の拡大を狙って1999年よりトラベルラインというシリーズを投入している。価格が310万円のナイロン素材のシリーズである。またルイ・ヴィトンも、これまでよりも低い低価格に位置するアンティグア・ラインを発売している。ルイ・ヴィトンは価格が11万円前後で、LVの文字を図案化したモノグラム・ラインという人気シリーズを持っているがアンティグア・ラインでは価格をこれよりも三割程度安くした、最低価格6万円台で設定している。

 

プレミアム・ブランド…類似の機能を持つ他の製品と比べて価格が相対的に高く、そのブランドの価値を認める消費者が多く存在し、彼らの多くを惹きつける力があるブランド。

 

<参考文献>

白井美由里(2006)『このブランドに、いくらまで払うのか』日本経済新聞社