平成20年4月18日
「ブランドの意義」
小野寺 宏
ブランドの意義
第一に、ブランドとは、顧客に対して自他を識別させる目印である。つまりブランドとは、顧客に自社が業務上扱っている当該の商品・サービス群と識別させるために、さまざまな識別情報を文字、図形、記号、色彩などに変換したものである。このさまざまな識別情報とは、ブランドや、そのブランドといういわば冠を被る商品・サービスの成り立ちを支えている技術、ノウハウ、知識、知恵、あるいは、安心、信用などを指している。
第二に、ブランドとは、顧客に対して購買意思決定への情報を提供する目印である。つまり、ある商品・サービスに、ある特定のブランドという冠を被せることによって、顧客が商品・サービスを選択するときの目印となり、彼らの購買意思決定に作用するさまざまな情報が自らの中に組み込まれている、いわば情報の缶詰である。
ブランドの起源
ブランドは元々自分の家畜などに焼印を施し、他者の家畜と区別するために行われたものである。やがて人々は、自分で作った食器類などにもこの焼印を表記するようになり、ローマ時代には、生産した商品の「品質」や、その「種類」の区別のためにも記号をつけ始め、その記号そのものが商品の「価値」を語るようになった。
今日的な「ブランドの意義」
ブランドは時代に対して独立的に存在することは不可能だ。時代の中で生かされている存在だからである。したがって、ブランドは時代という環境の変化に対して自らの役割を常に変化させ続けている。そうした時代変化のうち、今、見落とすことができないのは、経済の流れが「生産→流通→消費」から「生活→流通→生産」へと構造的に大きく転換していることである。すなわち、顧客や消費者がブランドの価値を評価し、価格を決定し、最終的な購買への意思決定や拒否権を握っている、ということである。
<参考文献>
高桑郁太郎(1999)『ブランドの資産価値革命』ダイヤモンド社