平成211218

世代別オタク

106-106 奥出拓摩

 

オタク第一世代(1960年代生まれ)

基本的にSFファンで、劇画の登場によりマンガは大人も読む者として認められつつあったが、「アニメは子供のもの」という風潮の中で育った。

少年期には「ウルトラマン」「仮面ライダー」「マジンガーZ」といった怪獣・変身ブームの洗礼を受け、しばしば特撮への嗜好を持つ。マンガやアニメは、学生運動を主導した戦中生まれ世代や団塊世代の抱いていた社会変革思想の対抗物として意識されていたため、彼らのオタク趣味全般に理論化・体系化への指向が強い場合が多い。コミックマーケットなど現在に至るイベントの基礎を築いた者もこの世代である。

 

オタク第二世代(1970年代生まれ)

少年期に「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」などアニメブームの洗礼を受け、広くアニメなどが趣味の範疇に受け入れられた。これらの作品がSFを基底として、架空の技術体系を構築する手法をとったため、提供される側はその架空の技術体系を網羅したがる方向性もみられる。

バブル世代と団塊ジュニアに相当し、1970年代末期〜1980年代のテレビゲーム・パソコン趣味の担い手ともなった。ロボットアニメ最盛期に育った世代でもあり、プラモデルなどこれらの作品に関連した製品が登場して一大市場を築き、その受け手となった。なお、この世代の親(1940年前後生まれ)は、「仮面ライダー」の石ノ森章太郎や「機動戦士ガンダム」の富野由悠季など、特撮の大作家が多い世代である。

 

オタク第三世代(1980年代生まれ)

1990年代後半に「新世紀エヴァンゲリオン」の洗礼を受け、セカイ系と言われるムーブメントの担い手となった。この時期にはアニメやコンピューターゲームが趣味のひとつとして市民権を得るようになり、メインカルチャーとサブカルチャーの差が薄れた時代に育った。そのため、オタク趣味に後ろめたさなどを持たず、単に多様な趣味の一つとして、アニメやゲームを楽しむものも増えた。

1980年代前半に生まれた世代は、高校までにインターネットが普及し始めた世代であり、インターネットをテレビや雑誌などと同質の媒体として利用していることがうかがえる。これは、1970年代後半に生まれた世代が、インターネットを独立した一つのメディアと捉えたのとは対照的である。

なお、第三世代以降の世代ではオタク趣味が一般的なものとなり、オタクコミュニティの拡散化と嗜好の分裂化・多様化がかなり進んでいるため、個人個人を一つの世代で括って考えることが難しくなっている。

 

オタク第四世代(1990年代生まれ)

インターネット利用が一般的な環境の中に育ち、従来の世代が遊び場や友達・仲間を広場や公園に求めたのと同質の感覚で、コンピューターネットワーク上のネットコミュニティにも求めていった世代である。インターネットなどを通じて知った日本以外の国のアニメ・コミック作品に傾倒したり、復刻ブームから196070年代のアニメやマンガ・玩具が容易に手に入るようになったりしたことから、親(オタク第一世代)の少年時代に流行した作品に熱中するオタクも相当数生まれている。

第三世代と第四世代とでは世代文化に大きな違いはなく、嗜好などかなり部分で似ている。第三世代以降のオタクは、インターネットを通じてアニメやマンガの情報に触れ、それを好むことに対する忌避感はあまりない。そのため、従来の内輪で楽しんでいた第二世代以前のオタクからは違和感を持たれることがある。

 

 

 

参考

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