平成21116

オタクの消費の分析(2

106-106 奥出拓摩

 

支出額に関する記述統計

次に、ジャンル別に支出額をみていく。表12は「ジャンル別消費割合」と「最も消費しているジャンル」を示している。ジャンル別消費割合は、「ここ一年間で、あなたが次のジャンルに使ったお金の割合を答えてください」という設問に対する回答を集計したものである。各ジャンルに使ったお金の割合を%で答えてもらっている。

分析の結果、フィギュアを買っている人は、その消費割合の平均が35%と最も高いことがわかった。それについでコミックの消費割合が34%と高くなっている。もちろん、複数のジャンルを消費している人も多い。フィギュアの場合はその単価が高いこと、コミックでは単価が低いものの続編シリーズが多いためたくさん購入するという、ジャンル別の購入パターンの違いが表れていると解釈される。

ジャンル別消費割合をもとに、それぞれの回答者が最も消費しているジャンルを算出したものが表2である。ただし、複数ジャンルへ同等の消費割合を答えている人は、この集計から除外している。(欠損値219人)

集計の結果、ジャンルごとに回答者の趣向にばらつきがみられた。しかしながら、同人作品(43人・3%)とコスチューム(5人・0%)に最も消費していると答えた人は少なかった。同人活動に関するこの2つのジャンルについては、他のジャンルと並行して消費されるという性質があることがうかがえる。

次に、アニメ・コミック・ゲーム・フィギュアの4つのジャンルについて、回答者の属性の比較を行った。表3は各項目に関してジャンル別に平均値を求めたものである。

まず、アニメ・コミック・ゲームの平均年齢は20代前半であるが、フィギュアは32.5歳とかなり年齢層が高いことがわかる。それに対応して小遣い金額も、フィギュアは58,610円と最も高くなっている。月支出額をみてみると、フィギュア(24,264円)にならんでアニメ(24,939円)が高額になっている。支出額の大きさは、その単価が高いこと、客層の年齢層が高く小遣いが多いことなど、複数の要因が考えられる。特にフィギュアの場合は、年齢層が突出しており可処分所得も高いなどの影響が強いと思われる。そこで小遣いの中でどれだけオタク関連商品に支出しているかというのを見るために、支払額を小遣い額で除した指数を算出した。その結果、アニメの指数は0.59と高く、商品への思い入れが強いことがうかがえた。反対に、フィギュアは月支出額が多いにもかかわらず、小遣いに占める割合は0.46と最も低いことがわかった。フィギュアに関しては、小遣いの大半を費やすというよりは、可処分所得の高い人がフィギュアを購入している影響が大きいと解釈される。

さらに、購買行動を示す変数として、「月あたり買物回数」と「一回の買い物で買い回る店舗数」について、ジャンル別に平均値を示した。アニメとコミックは、ゲームとフィギュアに比べて月買物回数が多い傾向にある。比較的単価の低い商品を、何回も買い物に出かけて買いためていると推察される。

 

1:ジャンル別消費割合

ジャンル

アニメ

コミック

ゲーム

フィギュア

同人作品

コスチューム

度数

1,144

1,260

1,161

891

548

49

平均値

30%

34%

28%

35%

17%

20%

 

2:最も消費しているジャンル

ジャンル

アニメ

コミック

ゲーム

フィギュア

同人作品

コスチューム

合計

度数

302

401

243

299

43

5

1,293

24%

31%

19%

23%

3%

0%

100%

 

3:ジャンル別ユーザー属性の比較

 

アニメ

コミック

ゲーム

フィギュア

度数

302

401

243

299

年齢

24.7

21.4

24.4

32.5

月支出額

24,989

15,253

20,690

24,264

小遣い

47,964

33,173

46,150

58,610

月支出額/小遣い

0.59

0.55

0.5

0.46

月買物回数

6.49

6.33

6.33

5.38

買い回り店舗数

3.98

3.33

4.18

3.56

 

 

 

参考文献

メディアクリエイト(2007)『2008 オタク産業白書』株式会社メディアクリエイト