平成21年10月2日
同人誌市場(2)
106-106 奥出拓摩
オタクコンテンツ産業への影響(マンガ)
多くの同人作家から幾多の同人誌が生み出されている中、人気を勝ち取り“有名同人誌作家”から“プロ作家”へと転向するケースも見られるようになった。
古くは柴門ふみや高橋留美子が同人誌を作成し、1980年代後半には高河ゆんやCLAMPといったコミケの女性向け“大手”作家が漫画商業誌でデビューを果たしている。現在では、その大半が現在(あるいは元)同人作家で構成された漫画雑誌が多数存在している。同人誌(アマチュア)から商業誌(プロ)へという流れがある一方で、プロデビューをしても同人活動を継続する作家もおり、同人業界においては長らくプロ/アマの境界が曖昧である。
プロデビュー後も彼らの活動は注目され、ファンは同人誌を買っていた延長で、単行本を買い求める。同人誌作家時代のファンがそのまま商業誌の購買層になり、そこに二次創作の余地があれば同人誌が作られる――というように、“元同人作家による商業作品”の同人誌が作られる。こうした循環現象自体は取り立てて珍しくはない。
参考文献
メディアクリエイト(2007)『2008 オタク産業白書』株式会社メディアクリエイト