平成21年7月3日
コンシューマー/PCゲーム市場(4)
106-106 奥出拓摩
コンシューマーとPCの違い
購入者層や流通、制作費などコンシューマーゲームとPCゲームの主な違いをまとめると次のようになる。
中心となる年齢層は、コンシューマーが20歳前後、PCが20代後半と、PCのほうが高い。また、PCゲームは、いわゆる「萌え」ゲームから、アダルト色の強いものまで幅広いため、30代以上の大人の購入者も多数見受けられる。
コスト面を見てみると、コンシューマーの大きな特徴がハードメーカーに払う“ロイヤリティ”である。PCの場合、プラットフォームは共通しているため、コンシューマーのようなロイヤリティは発生しない。問屋への卸値からロイヤリティを差し引いたメーカーの取り分は、PCのほうがコンシューマーよりも若干高めとなる。加えて、PCゲームは単価も高いため、ソフト1本あたりのメーカーの利益額は高い。コンシューマーにおいて、問屋を通さず自社流通を使う傾向が増えてきた背景にはこのような違いもあるといえる。
損益分岐点でもコンシューマーとPCとでは制作費用が異なる。もちろん、メーカーやタイトルにより差がある。特にPCゲームは制作費に幅があり、中には1000万円未満で作られた作品も存在するが、あくまで平均的な商品とする。
コンシューマーとPCとではオタク層以外も含めた全体の市場規模に差があるとはいえ、コンシューマーはPCの3倍以上販売しなければリクープできないのである。
これらの差異が急激になくなるとは考えにくいため、PCへの新規参入は今後も比較的容易だといえる。もっとも、「参入の容易性」がイコール「利益獲得の容易性」でないことは言うまでもなく、PCはコンシューマー以上に、メーカーの倒産や分裂が多いのが現状である。
|
コンシューマー |
PC |
購入者層 |
10代半ばから30代前半 |
10代後半〜4,50代 |
20歳前後が中心 |
20代後半が中心 |
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許諾の有無 |
ハードメーカーへ |
必要なし |
ロイヤリティ+製造費 |
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を支払う必要あり |
||
メーカー取り分 |
ロイヤリティなどを |
50〜60% |
引き45〜55% |
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平均価格 |
6800円(税別) |
8800円(税別) |
損益分岐点 |
製作費7000万円で |
製作費3000万円で |
約23000本 |
約7000本 |
|
小売店 |
量販店、専門店、 |
専門店、通販中心 |
複合店など多岐 |
||
メーカー |
合併傾向 |
倒産・分裂が多い |
参考文献
メディアクリエイト(2007)『2008 オタク産業白書』株式会社メディアクリエイト