平成21年6月19日
コンシューマー/PCゲーム市場(2)
106-106 奥出拓摩
要素分析
オタク層が好むゲームの特徴はどこにあるのか。結論から言ってしまえば、
・キャラクター(イラスト・声)
・ストーリーや世界観
を非常に重視している点である。さらにその両方に関わることとして、クリエーターの意義も大きい。“キャラクターデザインが彼だから”“彼女がシナリオを書いたから”といった、クリエーターリスペクトによる購入も多い。
逆に、システムや操作性などは最低限の機能を備えていればよい。一般のゲーム(特にアクション性の強いタイトル)にみられる“爽快感”“上達感”といった感受的要素も、重要度は低いといえる。
もうひとつ特徴的なのは、オタクにはコレクター気質の高い人が多く、「そのコンテンツ(作品)が好きだから、ゲーム“も”買う(手元に置いておきたい)」といった、集めることが主で、ゲーム内容は従というケースも珍しくないことである。ゲームからアニメへ、コミックからゲームへ、さまざまなメディアミックスが盛んであるがゆえ、ゲーム単体で捉えるのではなく、“コンテンツ全体を楽しむ”という形ができあがっているのである。
誤解されがちなのは、いわゆる“萌えキャラ”だけで売れるという認識である。もちろん、キャラクターが重要であることは正しいが、それだけではない。顕著な例として、『ひぐらしのなく頃に』がある。小売店の人は、「これまでの経験上で言えば、見た目的に売れる要素を備えてなかった」と話す。しかし実際はヒットした。見た目以外の、世界観や舞台設計、ストーリーなどがヒットを生み出したのである。“泣きゲー”と呼ばれる、シナリオに定評のある作品が人気なことも、同様の理由からである。
参考文献
メディアクリエイト(2007)『2008 オタク産業白書』株式会社メディアクリエイト