平成21年6月5日
出版コンテンツ市場(3)
106-106 奥出拓摩
<コミックス>
オタク関連で最も出版が盛んなのがコミックスである。書籍、雑誌がコンテンツの2次的な出版物となる場合が多いのに対し、コミックスは1次コンテンツそのものとなるからである。また、オタク関連出版はヴィジュアルが重要なファクターであるが、コミックというメディア自体がヴィジュアル表現であり親和性が高いことも理由となっている。
この部門も角川グループの出版活動が主導的ではあるが、コミック出版大手である集英社、講談社、小学館、秋田書店、白泉社などからもオタク向けコミックスの刊行が盛んになってきている。
昨今、新しいトレンドとなってきているのは「萌え系4コマコミックス」である。キャラクター人気が先行するオタク市場において、ストーリーや背景設定といったファクターがデフォルメ(簡略化)され描写がキャラクターに集約される4コマコミックスは、読者としても“手軽に萌えられる”ため人気が集まったと考えられる。
<ゲーム関連>
ビデオゲーム関連の出版物は、オタクに限らず広く一般層にも読まれている。しかしオタク系のキャラクター表現の発展は、「ギャルゲー」という言葉が以前からあるように、むしろゲームが牽引してきた側面が強い。そのことから、今回はゲームに関連する出版物のほとんどを集計対象に含めた。
しかしながら、ゲーム関連出版はインターネットで情報を得られるようになって以降、長期低落傾向にある。特に近年は「ニンテンドーDS」など攻略情報のニーズが低い携帯型ゲーム機のヒット、攻略情報も含めたプレイ行為をデスクトップ画面上で完結してしまうオンラインゲームの進展などにより、出版物の役割は徐々に後退する傾向がみられる。
参考文献
メディアクリエイト(2007)『2008 オタク産業白書』株式会社メディアクリエイト