平成21年5月29日
出版コンテンツ市場(2)
106-106 奥出拓摩
<書籍>
書籍で最大の占有をもつライトノベルは、いまやオタク出版を代表するジャンルの1つであるといえる。出版社の新規参入も多く、推定販売金額は04年には256億円だったものが、06年は344億円にまで成長した。
ただし、角川ホールディングス傘下の出版社が7割を占有している市場であり、さらにその中でもアニメ化された一部の作品のみが突出して売り上げを伸ばし、市場全体を牽引するという極端な構図となっている。
書籍ではこのほかにゲーム攻略本やアニメ関連の単行本、人気作家のイラスト集などが出版されているが、近年、エンターテイメント系以外の書籍でオタク向けにキャラクターを使ったものが登場し始めている。語学書『萌える英単語 もえたん』、地域ガイド『萌えるるぶ東京案内』などがそれにあたる。オタク関連出版は出版社が限定される傾向にあるが、単発であれば、他社からも刊行されるケースもある。
<雑誌>
大判ヴィジュアルな雑誌では、キャラクターの露出がとりわけ目立つ。しかしながらアニメ誌やコミック誌など、いずれも売り上げは振るわず発行部数は長期低落傾向にある。付録付きの号や人気コンテンツを特集した号は売れるが、新規読者開拓・定期購読に結びつかず、一般雑誌と抱える問題は変わらない。
特にコミック誌は読者離れが著しい。読者はコア層を除いてコミックスへとシフトしており、文芸誌と同様、連載媒体として維持されるという側面が強くなっている。
その他のオタク関連雑誌もジャンル細分化が進んでおり、近年の創刊誌は部数規模が10万部を下回ることがほとんどとなっている。フィギュア専門誌やコスプレ専門誌などよりマニアックなものは、独自創刊せず「シリーズムック」など不定期誌として刊行されるものも多い。
近年台頭してきた分冊百科でもオタク関連のシリーズが刊行されている。中でも『週刊ガンダムファクトファイル』は全151号という長期シリーズながら、分冊百科としては無類の好成績となり、読者の購買意欲の根強さを示した。
参考文献
メディアクリエイト(2007)『2008 オタク産業白書』株式会社メディアクリエイト
出版科学研究所ホームページ:http://www.ajpea.or.jp/