平成21年5月15日
アニメーション業界の展望
106-106 奥出拓摩
アニメーション業界の課題
昨今、人気のあるアニメの第2期を、休閑期(平均2クール)を置いて放送するケースが増えている。
多くのアニメ作品が溢れている現在、アニメ放送終了後もひとつのアニメを応援し続けるファンはそれほど多くない。他に見るべき作品がたくさん存在するためである。しかし、第2期を予定した作品は、アニメ第1期が終了した後も、出版物やラジオ、CDなどでのメディアミックス展開を続ける場合がほとんどである。そうすることによって作品についたファンの心をつなぎ止め、作品離れを防ぐことができるためである。つまり、ここにおいてメディアミックス展開は、アニメ作品の第1期と第2期をつなぐ橋渡しをする役割を持っている。
繰り返しになるが、アニメの本数が溢れかえっている現在、原作の枯渇や、クオリティの低下が問題になっている。近年、作品寿命が短くなっているとはいえ、ただ闇雲に原作を消費し、アニメ作品を乱発するのではすぐに限界がくることは目に見えている。
メディアミックス展開を織り交ぜながら、1作品の消費スピードをコントロールし、作品の寿命を延ばすやり方は、新しいアニメビジネスのひとつの可能性といえる。
パッケージソフト市場の展望
オタク産業におけるパッケージソフト市場は、DVD市場の縮小をCD市場が埋め合わせて堅調。しかしながら、展望が楽観的とはいえない。CDはDVDに比べ単価が安く、オタクユーザー一人あたりの消費にも上限がある。オタク人数が急激に増加するということもない。限られたターゲットを各商品カテゴリーで取り合う状態になりがちである。これを打開するには、オタク商品であったとしても、一般ユーザーやライトオタクといった層に対して販売を促進していくしかない。
過去のコンテンツ資産の運用によって、休眠オタクの掘り起こしを図る、商品そのものをより広く認知してもらうなど、やり方によってはまだまだ市場拡大が期待できる。
参考文献
メディアクリエイト(2007)『2008 オタク産業白書』株式会社メディアクリエイト