平成201212

アニメオタク(2

 

アニメオタクの歴史

アニメオタクは1970年代の「宇宙戦艦ヤマト」、「アルプスの少女ハイジ」の登場時期に生まれた。このうち「宇宙戦艦ヤマト」は、これまでの男の子向けアニメとは異なり、大人も楽しめるようなストーリーでSF的設定がなされた初めての作品であり、多くのファンを獲得した。一方、「アルプスの少女ハイジ」は、フジテレビ系の長寿番組となった世界名作劇場の第1作となる作品で、少年少女向けに名作の精神を伝えていく作品であった。

このように、ヤマトとハイジはまったく正反対の性格の作品であり、関東圏の初回放送時には放送時間がぶつかったため、どちらの作品を見たかで、その後のアニメに対する方向性が異なってしまう。ヤマト派はガンダムを代表とするSFロボットアニメへとはまっていき、ハイジ派はハートウォーミングな作品を好み、その後の名作劇場作品、「未来少年コナン」のような宮崎アニメ、「ミンキーモモ」、「クリーミィーマミ」のような魔法少女のような作品にはまっていった。

1970年代末になると、テレビで「うる星やつら」が始まり、現在「攻殻機動隊」で世界的に有名になった押井守監督のファンも、ここから生まれることになった。また、この時期、「機動戦士ガンダム」のテレビ放送も始まった。最初のガンダムは低視聴率で終わってしまったものの、その後の再放送や映画化で人気に火がついた。同時に、ガンダムに登場する機体のプラモデル(通称ガンプラ)も大きなブームとなり、アニメオタク層の拡大に大きく寄与した。

さらに同時期に、「ミンキーモモ」などの魔法少女ものが人気になり、アニメオタクがオタクとして社会に知られるようになった。また、この頃、「少年ジャンプ」で「キャプテン翼」の連載が始まり、女性オタクが生まれる契機となった。また、現在世界でも評価が高い宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」は1984年に公開され、アニメオタクだけでなく、一般の人々にも人気となり、新しいアニメファンやアニメオタクの獲得へ結びつくこととなった。

この後、1990年代になると「美少女戦士セーラームーン」が放映され、少年少女だけでなく、高年齢の男性オタクからも人気を集めた。この層が、後の萌え系アニメオタクの源流の1つとなったと考えられる。また、90年代半ばには、庵野秀明監督のテレビアニメ作品「新世紀エヴァンゲリオン」が放映されている。これもセーラームーンと同じように、一時期社会現象といわれるほどの人気となった。2000年代になると、「機動戦士ガンダム」の新シリーズである「ガンダムSEED」が放映され、男女を問わず現在の若い世代を中心にして、再びガンダム人気を広めることとなった。また「少年ジャンプ」で連載されていた「テニスの王子様」がテレビ放映され、80年代の「キャプテン翼」のときと同様に、女性ファンたちをオタクへと導いた。

以上のように、同じサイクルが繰り返されながらも、時代を経てアニメオタクは拡大を続けているのである。

 

 

 

参考文献

野村総合研究所オタク市場予測チーム(2005)『オタク市場の研究』東洋経済新報社