平成20827

「イベント」、「聖地」、「伝説」

 

C側面からオタク市場の特性を整理すると、有効な戦略を構築することができると考えられる。一方で製品特性によって外部から収集や創造、コミュニティ形成を促進するには限界がある。

既存のオタク市場に目を転じると、収集や創造、コミュニティに形成を活性化させる装置として、「イベント」、「聖地」、「伝説」を見出すことができる。

イベントはオタク活動にメリハリを持たせ、聖地は憧れやコミュニティ活動を育み、伝説は憧れや情熱を育成するという点でオタク活動の活性化に一役買っている。

イベントについてはモーターショーなど企業側が企画・提供しているものもあるが、コミックマーケット(コミケ)などオタクが自発的に始めたイベントも存在する。聖地や伝説については自然発生したものが大半である。

これらを意図的に提供することにより、製品特性以外の部分でオタク市場に対するマーケティング戦略の構築を推進することができると考えられている。

 

イベント(Event

オタクの活動を活性化させる上で、情報やアイテムの収集、自身の作品の披露を行う場所は果たす役割は大きい。

インターネットの利用によって、誰でもいつでも発表や情報収集をすることが可能となったが、バーチャルワールドの限界を補うために、リアルワールドにおいても特別な場が年に数回程度は用意されている。

コミックオタクにおけるコミケはその典型例で、年に数日開催されるこのイベントを目標にすることで創造活動が大きく活性化する。さらに、複数のコミュニティが集い、バーチャルに形成されていたコミュニティのメンバーが1箇所に集まることによって、情報交換や仲間内の交流が促進されるといった効果もある。

 

 

 

参考文献

野村総合研究所オタク市場予測チーム(2005)『オタク市場の研究』東洋経済新報社