平成20826

Cを用いた成功事例

 

コミック市場

同人誌活動は国内でさかんに行われているが、ここで特筆すべきはこの活動が業界から半ば黙認されている点である。同人誌の内容には著作権に抵触するものが少なくないが、これを積極的に規制する動きは見られない。むしろ広告塔として市場拡大に貢献するケースや、新人作家を育成する場として市場の活性化につながるケースなど、コミック市場にとって有益な役割を果たす場合が多いことが、業界内で同人誌活動が半ば黙認されている理由の1つである。

昨今ではオリジナルの作者が同人誌にキャラクターの利用許可を与えるケースや、発行元が同人誌の執筆者に依頼してアンソロジー企画を立ち上げるケースなど、著作権保有者と同人誌活動者の間に協調体制が結ばれることも珍しくなくなった。つまり創造のコミュニティに対して規制を設けず、彼らの収集対象である出版物の制作に関わることで業界側は商業的機会を拡大しているといえる。

 

AV機器市場

AV機器市場にはオタクが生んだともいえる製品事例が存在する。ハードディスクレコーダーがその1つである。ハードディスクレコーダーの登場以前から、アニメオタクなどは、高性能なビデオテープレコーダーを用いて録画・編集(CMカットなど)を行っていた。PC用テレビチューナーの登場により、その作業をPC上で行うことが可能になって以降は、テレビ放送の画像データをPCのハードディスクに記録するという形態が支持を集めるようになった。記録媒体がテープからハードディスクに代わったことで編集にかかる労力は軽減されたが、録画予約のために不在時もPCの電源を切ることができないなど不便な点もあった。こういったオタク層の声にメーカーが着目したことが、ハードディスクレコーダーの市場投入の要因の1つといわれている。

事実、ハードディスクレコーダー市場の立ち上がり期に支持された製品は、大量の録画データの管理(=収集)、編集機能(=創造)に優れた製品であり、各製品の良し悪しはインターネット上のコミュニティによって、さかんに情報交換されていた。

 

 

 

参考文献

野村総合研究所オタク市場予測チーム(2005)『オタク市場の研究』東洋経済新報社