平成20年6月6日
消費性オタク(2)
106-106 奥出拓摩
オタク的消費のメカニズム
消費性オタクに見られる消費活動の特徴としてあげられるのは、その消費活動が自分のこだわりの強さゆえに想起される、あるいはある種の理想的状況へ近づくための活動につながっている、という点である。
オタク的消費では、理想像を追い求める情熱が原動力となり消費行動がとられるため、多くの場合、消費に対する価格弾性が極小となり、趣味に対して支出可能な金額のほとんどをつぎこむという極端な行動に走ってしまいがちになる。また、コレクションを増やす、ハイスコアを更新するなどの、消費、創造活動を繰り返し、徐々に理想像に近づくにつれ、理想像への情熱はさらに高まる。そして、それが活動を加速させて、次の消費を誘発する循環を生む正のフィードバック構造となっている。しかも、目指すものはあくまで理想像であるためたどり着けない。それゆえ、自らに新たな課題を課してまで消費を続けることになる。これがこだわりの強さゆえにオタク的消費に陥るメカニズムである。
このようなオタクの行動原理は、巨大な重力場に落ち込む星々にたとえられる。消費者は、ある瞬間に重力場にとらえられ(=こだわりの強さゆえにその理想像を求め始め)、重力源に徐々に引きつけられながらぐるぐると周回軌道を回り(=理想を求めるための消費行動、創造活動を繰り返し)、徐々に運動エネルギーを発散する(=近づくにつれこだわりを強く持ったり、情報発信を始めたりする)。
この理想像を追い求めて、「消費行動」、「創作活動」、「情熱の高まり」のサイクルを繰り返す姿こそが、オタク的消費であるといえる。
参考文献
野村総合研究所オタク市場予測チーム(2005)『オタク市場の研究』東洋経済新報社