平成20年5月30日
消費性オタク
106-106 奥出拓摩
消費性オタク
消費市場において「極端な消費行動を行う層」が存在する。一般に、十分なサンプルのもとでの、ある分野に対する消費支出あるいは消費時間の分布は、およそ平均値付近に集中する。しかし、「自分が強くこだわりを持っている分野に対する消費支出や消費時間」の分布は、平均値付近に集中する層のほかに、さらに上位にもうひとつ第二の層が形成される傾向にある。
また、特に「自分が強くこだわりを持っている分野に対する消費支出(時間)の、趣味や余暇に使える金額(時間)に対する割合」の分布では100%、すなわち「自分が強くこだわりを持っている分野に趣味や余暇に使える金額(時間)のほとんどを費やす」層の出現率が突出して高くなる。この層は、こだわりの分野に関しては、ほぼ無条件に可能な限りの金額と時間を費やしてしまい、消費のブレーキが効かなくなった状態にあると推測される。
この「無条件に消費をしてしまい、ブレーキが効かなくなる状態の消費」を「オタク的消費」とし、その性向が強い層を「消費性オタク」とする。
また、どんな商品・サービスにも、いわゆるヘビーユーザーやお得意様は存在する。そして、いわゆる「2:8の法則」をもとに、多額を消費する顧客を重点的に獲得し維持することは、マーケティング戦略法の常道であるとされてきた。しかし、オタク的消費は消費金額の絶対的な多寡をよりも「中毒性」を基準としているため、消費性オタクは必ずしもヘビーユーザーとは一致しない。
「2:8の法則」:消費金額が多い2割の顧客が、市場の8割を占めるとする経験則
参考文献
野村総合研究所オタク市場予測チーム(2005)『オタク市場の研究』東洋経済新報社