平成20年5月16日
インターネットの普及がオタクに与えた影響
106-106 奥出拓摩
インターネットの普及によるオタクの顕在化
オタクの存在や活動が顕在化したのは、インターネットの普及によるものが大きい。
インターネットなどの電子的ネットワークが普及する以前は、オタクは地縁、人縁で結びついて活動していた。そのため、オタク同士が同好の士を発見し結びつくためには、そもそも両者が互いにオタクであることを普段の生活の中で認識し、接近しなくてはならず、接触できるような場所やイベントが必要であった。
また、知識などはある程度独力で獲得できても、どこかの段階でその分野の先達や関連する店やイベントに接触できなければ、知見をさらに深めたり、関連するグッズを収集したりすることはできなかった。
1980年代後半になってパソコン通信が始まり、初めて地理や時間の制約を越えて、オタク同士がコミュニケーションをとれるようになった。さらに1990年代後半からのインターネットの普及や2000年代のブロードバンド環境、パソコンの一般家庭への普及などによってコミュニケーションの場が急速に拡大した。
インターネット普及に伴う環境の変化
第一に、地理、人的ネットワークなど物理的に制約を受けていたオタクが、パソコン通信、インターネットの普及によって、容易に相互を発見し、コミュニケーションをとれるようになった。しかも、匿名性を保ったまま、コミュニケーションをとることが可能となったため、オタク同士でのコミュニケーションがより促進されるようになった。その結果、インターネット上に電子掲示板やチャットサイト、ブログなどでいくつものコミュニティが形成され、オタクの活動が活発になった。
第二に、インターネットを利用することにより、ニッチな分野の情報でも簡単に収集することができるようになり、ネット上のオタクコミュニティに容易にアクセスできるようになった。そのため、ある分野に興味を持った人がオタク化しやすくなるという効果も表れた。
第三に、ネット上でいわゆる「同好の士」を簡単に見つけ、コミュニケーションができるようになり、お互いに情報や意見をより簡単に交換できる環境ができてくると、今まで情報収集を主にしていた人が、今度は情報発信を行うようになり、オタク全体の活動が活発になった。
さらに、eコマースやネット・オークションの普及も大きい。これによりオタクの活動の重要な部分をなす収集(コレクション)活動も促進されるようになった。具体的には、通信販売の拡大やオークションを利用したオタク同士でのグッズ、アイテムの売買などが広まることによって、限定商品やレアグッズ、アイテムが購入しやすくなった。
参考文献
野村総合研究所オタク市場予測チーム(2005)『オタク市場の研究』東洋経済新報社