方 谷 革 命 B

〜山田方谷とケインズ革命〜

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                                                     守屋秀之

 

 

◎山田方谷にとっての資本主義の概念

ここから、方谷がなぜ備中松山藩を企業立国にしたてあげたのかということを資本主義というレンズを通してみて生きたと思う。また、就業者23千人を藩企業の従業員にしなければならなかったのか、その理由と時代背景について説明したいと思う。

資本主義とは、産業革命以後の工業生産と結びついたヨーロッパに生まれた新しい経済体制のことであるが、これは狭義の不正確な固定観念にすぎない。資本主義の本来の姿とは西欧諸国の産業革命よって生まれた大量生産、大量消費、大量廃棄の近代資本主義のことである。

資本主義は東洋、西洋を問わず古代から存在した。生活に必要なものを物々交換する市場に変わって、貨幣を使った交換が始まったとき、金本位経済が生まれた。そして貨幣そのものを増やそうとする金儲けのゲームが始まれば、貨幣を使う市場ではマネーゲームが登場する。広義の意味で、この流れが資本主義である。山田方谷は儒教から資本主義を学んだ。「カネ」の流れが軽やかに滞りなく行われれば経済は黙っていても発展するという資本主義の根本原理を熟知していた。これが山田方谷の財政革命の謎を解明する最大のキーポイントなのである。

 

 

参考文献

野島 透『山田方谷に学ぶ財政改革』(2002)明徳出版社

矢吹邦彦『ケインズに先駆けた日本人−山田方谷外伝−』(1998)明徳出版社