津田永忠と新田開発A
21年10月16日
守屋秀之
◎幸島新田(慶安元年完成)
○幸島新田開発
・複雑な海流や海洋の諸条件を徹底的に調査し、大阪の優秀な石工を使って海の中に長大かつ精巧な石積堤を築く。
○排水システム
・神崎川の末端を広げ、大水尾と呼ばれる遊水地と樋門を結びつけた大規模な排水施設を作り、流入する河川に水門を設けて排水調査を行う。さらに、川の底を潜る高度なサイホン技術を駆使し、上流の吉井川から延長約18キロメートルに及ぶ坂根大用水が開削され、海上の大小の島々を結んで長大な潮留め堤が作られた。水を確保するという近代的な干拓システムを生み出している。
➞幸島新田の完成は、永忠の持つ設計力から資金・技術にわたる総合的な組織力が遺憾なく発揮された結果。総面積は561町歩。
◎倉安三新田と倉安川(延宝7年中に完成)
○倉安三新田
・以前、「中川前ノ新田」の一部として計画された。しかし、用水のめどが立たず、実現には至っていない。
○倉安川の開削
・吉井川と旭川を結ぶ通船のための運河として開削。その余水を新田に取り込むことによって用水の問題は解決されている。
➞この両事業は延宝7年中に完成し、同年10月19日光政を迎えて倉安川の船路開きが行われている。倉安三新田の総面積は293町余りで1町歩当たり銀300匁の夫役銀をもって払い下げ、50人の農民が入植している。
参考資料
池田家文庫等貴重資料展 http://lib.okayama-u.ac.jp/ikeda/exhibition.2002/#3
岡山平野鳥瞰記 http://suidou-ishizue.jp/nihon/07/04.html