平成20年12月19日
2次ビジネスが困難なゲーム業界
105-370 中川 正隆
1.困難な2次ビジネス
映画は、劇場公開、DVDの販売、レンタル、CSなどの有料テレビ放送、地上波放送にインターネット配信まで様々な2次ビジネスができる。これらの利益を合わせると劇場公開による興行収入の3倍以上といわれている。また、ヒット作になれば、ノベライズの版権や関連書籍、キャラクターグッズなどの売上も期待できる。
しかし、ゲームは映画のように、2次ビジネスをすることができない。ゲームの利益のほとんどはソフトの販売によるもので、攻略本の印税などの収入が少し入る程度だ。2次ビジネスが成功しているゲームもあるが、それは『ポケットモンスター』のような極一部の人気ゲームだけだ。
また、以下の理由からゲームの2次ビジネスは困難となっている。
・
多くのゲームソフトが専用のハードウェア向けに開発されるため、最初からマルチユース性がない
・
ハードの世代交代とともに、ソフトの寿命も終わってしまう
・
操作を要するため、映像作品などとして再利用することが困難
2.現在の2次ビジネス
最近では、よくテレビゲームと連動したアニメーション放送や漫画連載が行われるケースがでてきている。これは、多くの場合はソフト販売を伸ばすことを目的として、ゲームソフトメーカーが番組をスポンサードすることによって成立していることが多く、版権料的な売上は少ない。
また、近年では多額の開発投資を必要とするゲームソフトで利益をあげるチャンスを増やそうと、マルチプラットフォームでのゲーム開発やインターネット配信、企画段階から他メディア展開も試みられている[1]。
参考文献
橘寛基(2006)『最新ゲーム業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』
参考URL
ゲーム、アニメ、専門誌でメディアミックス! 『.hack//G.U.』プロジェクト発表会
http://dol.dengeki.com/data/news/2006/02/06/8d379da4f12082eda23725c2cfd937b9.html
[1] 『.hack//G.U.』2006年2月6日時点で、4月にはテレビアニメ『.hack//Roots』とラジオ放送の開始、携帯電話向けサイトのオープン、本作をメインに取り上げた専門誌「.hack//G.U.The World」の発売など予定していた。