平成201219

          2次ビジネスが困難なゲーム業界

                            105-370 中川 正隆

1.困難な2次ビジネス

 映画は、劇場公開、DVDの販売、レンタル、CSなどの有料テレビ放送、地上波放送にインターネット配信まで様々な2次ビジネスができる。これらの利益を合わせると劇場公開による興行収入の3倍以上といわれている。また、ヒット作になれば、ノベライズの版権や関連書籍、キャラクターグッズなどの売上も期待できる。

しかし、ゲームは映画のように、2次ビジネスをすることができない。ゲームの利益のほとんどはソフトの販売によるもので、攻略本の印税などの収入が少し入る程度だ。2次ビジネスが成功しているゲームもあるが、それは『ポケットモンスター』のような極一部の人気ゲームだけだ。

また、以下の理由からゲームの2次ビジネスは困難となっている。

     多くのゲームソフトが専用のハードウェア向けに開発されるため、最初からマルチユース性がない

     ハードの世代交代とともに、ソフトの寿命も終わってしまう

     操作を要するため、映像作品などとして再利用することが困難

 

2.現在の2次ビジネス

 最近では、よくテレビゲームと連動したアニメーション放送や漫画連載が行われるケースがでてきている。これは、多くの場合はソフト販売を伸ばすことを目的として、ゲームソフトメーカーが番組をスポンサードすることによって成立していることが多く、版権料的な売上は少ない。

 また、近年では多額の開発投資を必要とするゲームソフトで利益をあげるチャンスを増やそうと、マルチプラットフォームでのゲーム開発やインターネット配信、企画段階から他メディア展開も試みられている[1]

 

 

参考文献

橘寛基(2006)『最新ゲーム業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』

参考URL

ゲーム、アニメ、専門誌でメディアミックス! .hack//G.U.』プロジェクト発表会

http://dol.dengeki.com/data/news/2006/02/06/8d379da4f12082eda23725c2cfd937b9.html



[1] .hack//G.U.200626日時点で、4月にはテレビアニメ『.hack//Roots』とラジオ放送の開始、携帯電話向けサイトのオープン、本作をメインに取り上げた専門誌「.hack//G.U.The World」の発売など予定していた。