平成20年12月12日
海賊版
105-370 中川 正隆
1.蔓延する海賊版
ゲームソフトはデジタルデータであるため、いったんコピーされると本物と変わらない品質のものが流通する危険性がある。また、その手口はインターネットの普及により多様化、巧妙化するとともに、あらゆる国へと拡大を見せている。
ゲーム業界では、ハードが世代交代するたびに新たなコピープロテクト技術を導入するなど、対策に努めているが、遅かれ早かれ海賊版は登場してくる。アジア諸国は海賊版天国とも言われ、中国などではその価格差から高価な正規版の流通が難しくなっている。また、2006年にはイタリアでも日本製アニメやゲームの海賊版販売店が摘発され、同様な商品はフランスやドイツなど、ヨーロッパ諸国にも広がりを見せている。このように、知的財産権保護に関しては理解があると思われた国まで海賊版が拡大している状況は大きな問題だ。
また、海賊版には以下の特徴がある。
・正規で販売されている商品に比べて価格が異常に安い
・1人の出品者から同一の物が大量に出品されている
・複数のソフトが1つのメディア(CD、DVDなど)にまとめられている
・箱や説明書がなく「メディアのみ送付」となっている
・「ユーザーサポートが受けられない」などと説明
・「ご理解ください」「わかる方だけ購入してください」など、「あやしい」出品であることを暗に伝えている。
2.海賊版の流通パターン
海賊版の主な流通パターンは3つに分けられる。
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マンガ喫茶やホテルなどの施設
マンガ喫茶やホテルなどの施設で、著作権者に無断で施設利用者にソフトを利用させた事が一時期頻発した。これは上映権の侵害として著作権法違反となり、2001年に兵庫県で初の逮捕例が出て以来、毎年数件の摘発がある。
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路上販売
これは古典的な手口だが、アジア製のひとつのカセットに100タイトル近くのソフトが入っているものなども登場している。日本国内では決まった店舗を持つものではなく、路上でゲリラ的に販売されるケースが多いため、完全に取り締まるのは不可能に近い。
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インターネット
サイトを通じて販売する基本的なものから、他人名義でのネットオークションを利用したものやファイル交換ソフトを用いたものまで、多様な手口がある。中には摘発を逃れるため、入り口だけをインターネットにおいて、その後はプリペイドタイプの携帯電話でのやりとりだけで販売を行うものなど複雑化した手口もある
参考文献
橘寛基(2006)『最新ゲーム業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』秀和システム