平成20年6月27日
テレビゲームで本当に社会不適応になるのか
105-370
中川 正隆
1.
社会不適応になるロジック
一般的に、テレビゲームをすると社会不適応になるロジックには以下のようなものがある。
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テレビゲームで遊ぶ事により、生身の人間と接触する機会が減り、複雑で困難な問題に直面することないため、結果的に円滑な人間関係の構築に必要な技能や知識を失ってしまう。
・
テレビゲームで遊ぶ事で、自在にコントロールできる登場人物に慣れすぎて、七面倒くさい現実の他人と付き合う意欲を失う。
しかし、これらの主張は研究者の間では指示されておらず、むしろ、もともと社会不適応の傾向にある子どもがテレビゲームに接触するようになるという研究結果がある。また、海外にはテレビゲームで社会不適応になることを否定する研究が多数あり、中にはテレビゲームをよくする生徒のほうが、そうでない生徒よりも外交的であるという研究結果[1]もあった。
2.
年齢による影響力の違い
国内にも、テレビゲームと社会不適応の関係を調べたパネル研究がある。実施したパネル研究は他人とのコミュニケーションの阻害要素であるシャイネスの度合い測定するものだ。結果は、小中高の生徒の場合は、交流関係にマイナスの影響を与えるどころか、逆にプラスの影響を与えるという結果がでた。しかし、大学生の場合は、社会不適応をもたらすという結果がでた。
その理由として、小中高の生徒の場合は、ソフトの貸し借りなどを通じて友達との交流を深めたり、テレビゲーム技能の上達によって他人から尊敬されるが、大学生の場合は日常生活でテレビゲームが話題にならないため、プラスの影響よりマイナス影響が大きく出たことが考えられる。
以上のように、小中高の生徒の場合は、社会不適応という点においては悪影響があるとはいえない。また、大学生の場合でも、まだ研究が不十分であるためはっきりと悪影響があるとはいえない。
参考文献
坂元章(2004)『テレビゲームと子どもの心』メタモル出版