平成20年5月9日
攻略本
105-370
中川 正隆
1.
攻略本の歴史
日本で最初の攻略本は、1970年代末に『スペースインベーダー』ブーム時に発行されたものだといわれている。その後、1980年代のミニコミ文化の功績により、攻略本というジャンルが築き上げられ、「ファミリーコンピュータ」のブームにより攻略本が商業誌として普及した。また、本格的な攻略本の始まりは、1985年にアスキーから出版された『ドルアーガの塔のすべてがわかる本』といわれている。当時は、ゲーム内容が薄かったので一冊でまとめて攻略するケースも多かった。
1990年代になり、ゲーム内容の複雑化、ロールプレイングゲームやシュミレーションゲームなどのデータ量の多いジャンルが台頭するようになった。それに伴い、攻略本の需要が増え、またページ数が増加の一途をたどり、上下巻(SFC版『甲竜伝説ヴィルガスト 消えた少女』上・下巻など)に分かれるものも現れた。
2000年代になり、さらにゲームが複雑化、肥大化する。そして、1つのゲームの攻略本が上下巻どころか3~4冊に分割されるケースも見られるようになった(『FINAL FANTASY]』SCENARIO ULTIMANIA, BATTLE
ALTIMANIA, ALTIMANIAΩなど)。また、大作といわれるゲームは、最初に不完全な攻略本を発売し、後に完全な攻略本を発売するといった手法が取られるようになった。
一方、インターネットの普及に伴い、ゲームの攻略を行うウェブサイトや電子掲示板が大幅に増え、攻略本の売上の低下を招いている。ウェブサイトや電子掲示板などは、著作権の侵害にならない限りメーカーからの規制が無視でき、攻略本が提供できないデータ解析などの詳細情報に手をだせる。そのため、製作者しだいで一般の刊行物とは比べ物にならないほど充実した内容を提供できる。
2.
攻略本ビジネス
攻略本は、ロールプレイングゲームやシュミレーションゲームなどのデータ量の多いゲームの場合はソフト販売本数の3割売れるといわれている。100万本売れたゲームなら30万冊、10万本売れたゲームなら3万冊売ることができる。出版業界では数万冊売れればヒット商品となるので、確実性の高い商品と見なされている。
攻略本を作成するには、著作権者であるメーカーの合意が不可欠であり、その協力が必要になる。攻略本を発行にあたって、出版社は小売価格の5〜8%をメーカーに支払う印税契約を結ぶ。
最近、ソフトメーカーでもスクウェア・エニックスやコーエーのように、自社で攻略本を出版する動きが盛んになっている。この場合は、主に企画が攻略本の執筆を担当する。また、コナミ、カプコンなども自社の出版事業の充実を図っており、自社タイトルの攻略本をいち早く発行している。こうした動きには、ソフトから発生する利益を少しでも社内に還元したいという動機がある。
参考文献
橘寛基(2006)『最新ゲーム業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』秀和システム
島国大和(2004)『ゲーム屋のお仕事』毎日コミュニケーションズ
参考URL
Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8